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 再会


「え、ザップ? ここはどこ?」


「ご、ご主人様?」


 マイさんとアンさんは身構えてキョロキョロしている。


 僕は体が動いていた。


「マイ! アン!」 


 僕は2人を一緒くたに抱きしめた。嬉しくて涙が溢れている。少女冒険者4人もリナちゃんも妖精ミネアもなぜか人魚ナディアもシャリーちゃんもみんな抱きついてきて、おしくら饅頭状態になる。みんな涙を浮かべている。しばらく満足するまで僕たちはもみくちゃしまくった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「と言うことは、あなたが記憶を無くしたザップで、ザップと入れ替わったラファ姫は迷宮都市の迷宮の下層で石になってるって訳?」


 マイさんが僕をじっと見る。耳がピコピコしてる。う、触りたい。僕もマイさんを見つめる。多分、僕が今まで出会った人達のなかで、マイさんが一番綺麗だ。なんか見てるだけで意味も無く緊張してしまう。



 ここはザップハウスのリビング。あの混沌としたおしくら饅頭の後、みんなでここに移動した。

 リナちゃんとナディアは北の国の家にワープポータルで帰り、魔法儀式で消耗したシャリーちゃんとルルさんそれに妖精はベッドで眠り込んでいる。

 あとアンジュさんも店が地獄だったらしくてソファに座ったまま寝落ちしてたので、横たえて毛布をかけてあげた。


 今ここにいるのは、僕とマイさんとアンちゃんとミカさんとデルさん。これまでのいきさつをマイさんとアンちゃんに話し終えた所だ。



「それにしても相変わらずご主人様の私に対する扱いは酷くないですか? ドラゴンの口のつっかえ棒代わりは酷すぎます。それに、うう、角も……」


 なんかさらに傷つくかもしれないので、アンちゃんの小指の事は伏せておくことにした。エリクサーをかけて小指も含め全身の小さい傷は治癒してたけど、角は折れたままだった。アンちゃんの体は細かい傷のおかげで血だらけで抱きついた僕にも血がついた。


「それについては本当にごめんなさい。まだ収納の使い方に慣れてなくて……」


 僕は素直に頭を下げる。心の底から悪かったと思う。


「まあ、私はドラゴンですから少しの傷くらいはなんともないのですけど、ご主人様に買って貰った服が台無しですね……」


 うつむいて、少しアンちゃんは悲しそうにしている。


「服ならまた僕でよければ買ってあげるよ」


「ありがとうございます、ご主人様。でもなんかラファ姫様の体だと、なんていうかワイルドさが無くてドキドキしないですね、少しだけ寂しいですね」


 ん、ドキドキしない?


 アンちゃんはザップにドキドキしてたのか?


 それに寂しい?


 もしかしてアンちゃんは、ザップの事が好きだったのか?


「あたしは、まあ、たまにはこういうザップもいいわね」


 マイさんは僕に近づいてぎゅーっとして頬ずりしてくる。不意打ちに僕の体は固まってしまう。


「んー、可愛い、可愛い。けど、早く格好よくて逞しいザップに戻ってね」


 え、ザップって格好よかったのか?


 密着してて、女同士なのになぜか僕は鼓動が早くなる。


 深く息をついて気持ちを落ち着ける。しばらくして僕は解放された。


 離れてからよく見ると、マイさんの目が少し潤んでいるような気がする。


「とりあえず、私は温泉に入ってきますタオルで拭いてもなんか血なまぐさくて」


「じゃ、みんなで入ろう!」


 立ち上がるアンちゃんにマイさんが爆弾発言をする。


 無理無理、それは絶対に無理だ。体は女の子だけど、僕は心は男だ多分。


 僕は力いっぱい首を横に振る。


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