解呪(リムーブカース)の儀式
「ねぇ、ラパンちゃん起きて」
ルルさんに肩を揺らされて僕は目を覚ます。辺りは真っ暗でルルさんの魔法の光がふよふよと浮いていて僕たちを照らしている。頭がスッキリしているので結構寝てたみたいだ。僕を含め寝ているメンバーは毛布に包まれている。多分ルルさんかデルさんだろう。起きているのは、ルルさんとタライにはいった人魚のナディア、神官戦士のミカさん妖精ミネアとシャリーちゃんだ。
「準備できてるわ、ささ早く魔法陣の中に入って」
光輝く4つの大きな円の中にびっしりと光る文字が描かれた魔法陣の中央にマイさんとアンさんの2体の石像が鎮座している。石化したアンさんの上にはタブレットを無理矢理掲げた妖精ミネアがエリクサーを振りまいている。
「え、どうやって線を踏まずに入ればいいの?」
魔法陣は半径5メートル位はある。
「跳んでいけばいいじゃない?」
「………」
ルルさんはそう言うが、僕は失敗する自信がある。石化した2人を囲んでいる1番内側の円は直径2メートルくらい、ちょっと難しそうだ。
「しょうがないわねー、力を抜いてー」
人魚ナディアがタライの中から気怠げに言う。たぶんもう眠いのだろう。
「浮遊」
人魚ナディアの魔法で僕の体が宙に浮きふよふよと魔法陣を超えていく。
「ありがとう」
僕はナディアに礼を言う。ナディアは手を上げて応じる。
魔法陣の傍らにはシャリーが目を瞑っていて、一心に何かを呟いている。多分呪文の詠唱だろう。
「大地よ我に力を、風よ吹き荒べ、光よその加護を我に」
シャリーの紡ぎ出す言葉により魔法陣は励起して眩いばかりの光を放つ。辺りには風がそよぎ徐々に強くなり吹き荒ぶ。シャリーの髪がほぼ真横に風になびく。妖精ミネアは吹き飛ばされないようにタブレット片手にアンさんの残った角にしがみついてる。このままでは飛んでいきそうなので、手を伸ばし妖精の小さい体を支える。
「光よ力となりて悪しき呪いを断ち切れ!」
シャリーはゆっくりとその双眸を開き、その両手が白く光り始める。
「解呪!」
シャリーは両手を突き出し、ゆっくりと僕たちに光が迫る。光は僕たちの前で弾け散り辺り一面を包み込む。眩いばかりの光で僕は目が眩む。耐えられず目を閉じる。
チョロ チョロッ
光に包まれた中、ただミネアがアンさんにエリクサーをかけてる音だけがする。なんかシュールだ。少しづつ風が収まってくる。
「ザーーーップ!」
「ご主人様ーっ!」
叫び声が響き渡る。
目を開けると、ルルさんの魔法の光に照らされて立ちすくむ、マイさんとアンさんがいた!