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 帰還と新たな出会い


「うわ、まぶしー!」 


 数日ぶりの日の光は、少し目に刺さる。けど心地よい。


 なんか、なんとなく伸びをする。迷宮から外に出た時はなんか寝てたのに今起きた的な感覚に包まれる。


「ラパンちゃん、間違いなくここでかなりレベルアップしたんじゃないの?少し手合わせしてみる?」


 ルルさんの提案に僕は激しく首を横に振る。いたぶられるのが目に見えている。せめて魔法を使い切った時なら勝負になるかもしれないが、ルルさんはまだ反則的な魔法を隠しもっていそうだ。


「それでは、私とはどうかな?」


 僕はデルさんにもっと激しく首を横に振る。デルさんと手合わせしたら地面に叩きつけられるのが関の山だ。僕の中では、もうデルさんは野伏レンジャーじゃ無くて力士レスラーだ。相撲大会とかに出たら優勝をかっさらうのではないか?


 多分2泊3日くらいの迷宮旅行を経て、僕たちは帰路につく。行きはデルさんたちのなじみの街までワープポータルで来たけど、帰りは歩きではなくて走りだ…

 僕は人外の2人について行くだけでやっとだった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「「「ただいまーっ!」」」


 僕たちは勢いよく扉を開けて『みみずくの横ばい亭』に入る。今はもう夜も遅く、看板の光も消えている。


「死ねーっ。人さらい、誰があんた達の言うことなんかきくかーっ!むぐっ……」


 僕たちが店に入るなり甲高い女の子の怒鳴り声が聞こえる。声の主と思われる女の子にリナちゃんが猿ぐつわをかませている。その女の子は縄でぐるぐると縛られていて、手も後ろ手で足もしっかり縛られている。どれだけ厳重に拘束してるんだ? そしてその回りをみんなが囲んでいる。


「ラパン!帰ってきたのね、あたしたちもさっき戻って来たとこよ」


 妖精ミネアがふわふわ飛んでくる。なんか懐かしい。


「めっちゃ店いそがしかったっす。ナディアの歌のおかげで。あたしも逃げ出したくなったっすよ」


 アンジュさんはへとへとだ。そっかお店忙しかったんだ。良かった。


「それで、その娘は誰なの?」


 ルルさんが僕が言おうと思った事を口にする。


「んー、聖教国の一番魔法が強力な大神官だ。連れてくるには苦労したぞ!」


 リナちゃんが答えるが、連れてきたのではなくて、拉致ってると思う。


 その大神官の少女と目が合う。なんかふがふが言っている。


「リナちゃん、少し猿ぐつわ取ってみて」


 僕の頼みにリナちゃんが応じてくれる。


「お願い、あなたラファでしょ、助けてこの畜生たちから!」


 ん、ラファの知り合いなのか?


「ごめんなさい、僕、記憶を失ってるんだ。君、僕の知り合いなの?」


「えー、あたしよ、シャリーよ、忘れたの、昔よく遊んだでしょ、あたしはあなたの足と顔を治療出来るようになるため頑張ったのよ、ていうか足も顔も治ってるしー!」


「そっか、ありがとう」


 一応礼を言う。リナちゃん達がこの娘を拉致ったのは、多分マイさんとアンさんを治療するため。ラファの知り合いならもしかしたら力になってくれるかも。


「あのさ、君、僕の知り合いならもしよかったら僕のお願いを聞いてくれないかな?石化の呪いを解いて欲しい人達がいるんだ」


 僕はシャリーと名乗った娘の目をじっと見つめる。


「条件次第ではいいわよ」


「条件って?」


「決まってるじゃない!金と美味いものとお酒よ!」


 ん、なんて欲まみれなやつなんだ。こいつは本当に聖職者なのか?それにお酒って見た所未成年じゃないのか?


 掻っ攫う人間間違ったのではないか?


 とりあえず、交渉はできそうなので、縄を解いて貰うことにした。




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