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 ドラゴンスレイヤー

 

 パキン!


 焚き火の中の薪が高い音を立てる。爆ぜる事の少ない、しっかり乾燥させたいい薪だ。

 僕の収納の中にはみんながいろんなものが詰め込んでいて、正直僕も何が入っているか把握してない。出発前に特にルルさんが色々収納していた。この薪もそのうちの1つだ。


 僕たちは焚き火で体を温めながら、ルルさんが火に鍋をかけている。


 さっきの泉は驚いた事にエリクサーというどんな傷もたちどころに治癒する霊薬をたたえているそうで、しかもおかしな事に水浴びしてそこから出るとしばらくすると揮発して全く濡れてない状態になった。その霊薬を僕は収納からいつでも好きなだけ取り出せる。これって無敵なんじゃ?


 因みに僕の血まみれだった服はデルさん達が綺麗にしてくれた。しかもすぐに乾いている。


 鍋の中身は『みみずくの横這い亭』、僕がお世話になってた食堂のスープだ。少し温めたあとルルさんがよそってくれる。沢山の野菜と少しのお肉を煮こんだ薄いスープだけど、温かくてとってもおいしい。


 前にお店の屋号について由来を聞いたところ、『みみずく』とは夜になってもお酒を飲み続ける人のことを例えていて、その人達がお腹いっぱいやへべれけになって『横這い』になるような楽しんで貰える店にしたいという、先代の主人の意思だそうだ。なんかほっこりだ。


 しばらくゆっくりして落ち着いた所で、ルルさんが口を開いた。


「この先にドラゴンがいるかもしれないけど、どうする?」


 ドラゴン、頂点の魔物の一種で一流の冒険者のパーティーでも討伐が難しい生きた伝説。倒した者にはもれなく『ドラゴンスレイヤー』という英雄の称号が与えられるという。


「私たち前に一度は倒してるけど、今度は後衛ばっかだしね」


「ええーっ、お二人は『ドラゴンスレイヤー』なんですか!」



 デルさんの爆弾発言についつい敬語になってしまう。


「まあね!」


 ルルさんが軽くどやっている。


「あたしの魔法でドラゴンに通用するのはほぼ無いから、収納スキルのポータルで援護しながら、直接攻撃で削ることくらいしかできないわ」


「私も同じくよ、柔らかい所を弓で狙って、チクチク削る事くらいしか出来ないと思う」


 この鬼神のような2人にそう言わしめるとは、ドラゴンってどれだけ規格外なんだろうか……


「けど、せっかくここまで来たんだし、ドラゴン美味しいしねー」


 ルルさんが期待した目で僕を見る。これって要は強制って事だよね。けど、美味しいって食べたのか?ドラゴンを!


 じっくり考えてみる。僕はドラゴンと戦えるのか?考えるけど答えが出ない。けど、この2人がいれば安心だ。


「じゃ、行くだけ行ってみて、やばくなったらとっとと逃げるという事で……」

 僕の言葉に2人は立ち上がる。やる気まんまんじゃん。


 僕たちはドラゴンのいる部屋に続く扉を開けた。

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