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 ミノタウロスの王


「ここからは私たちも戦うわ」


 階段を降りた所で、デルさんは背負っていた斧を手にする。


「あたしもサポートするよ」


 ルルさんは片手にタブレット、もう片方向の手に具現化したワープポータル、コーヒーのソーサー位の大きさの魔方陣を持っている。


 これから先はミノタウロスがいると言う。彼我の戦力差はわからないが、この2人がいるから安心だ。何も気にせず全力を尽くすのみ。


「この先に一体いるわ」


 デルさんの索敵能力は完璧だ。僕はハンマーを持って扉を開ける。


 鍛え上げられた陰影のはっきりとした筋肉質の体に猛々しい雄牛の頭。その頭からは2本の湾曲した角が生えている。ミノタウロスだ。巨大な斧を両手で握りしめ構えている。


 先手必勝。


 僕は駆け寄りまずは右から左にハンマーを振るう。


 ガキーン!


 金属同士で火花を散らす。僕の一撃は斧で受けられる。さすがに今までとは違うか……


 僕のハンマーは斧でしっかり押さえられ、その場で押し合いしのぎを削る。力は互角いや僕の方が強い。けど、こんなところで足踏みしてるわけにはいかない。


 ふっと力を抜き後ろに最大限の速度で下がる。下がりながらハンマーを右手にもち左手で鉄球の刺を握り引き絞る。ミノタウロスは急に抵抗が無くなったので一歩前に踏み出そうとする。その刹那体を下げて引き絞った左手を離しミノタウロスの前に出た右足を刈る。弾みで走った鉄球は軽くミノタウロスの足を打ち抜き、僕はそのまま力を逸らし大上段に構え、バランスを崩し背中から地面にたおれこみそうになるミノタウロスの顔面に全力でハンマーを振り下ろす。


 ゴウッ!


 鈍い音を立てて、ミノタウロスは顔面をハンマー、後頭部を大地に挟まれて、その頭が潰れる。僕は跳び下がり、ミノタウロスが動かなくなるのを確認して構えをとく。


 一瞬で決着がついたように見えるが、ぎりぎりだった。少しタイミングがずれたらもっと泥試合になっただろう。大地と挟み込む事で打撃の威力を倍増させたから簡単にしとめられたけど、そうじゃなかったら数発必要だっただろう。


「やったわねー!」


 ルルさんが抱きついてくる。


「3発で仕留めるとは凄いわ」


 デルさんも抱きついてくる。激しいスキンシップは勘弁して欲しい所だけど、今は素直に嬉しい。


「よっしゃー!」


 僕はハンマーを天に突き上げる。やった、深層の魔物を1人で倒す事が出来た。


 しばらく、僕は勝利の余韻に浸った。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 それからは、3人で連携して戦っていく。ルルさんは主に炎の矢の魔法でミノタウロスを足止めして、デルさんは攻撃をかわしたり流したりしながらミノタウロスを投げる。まるで噂に聞いたことがある東方の力士みたいだ、それで弱った所を僕がとどめをさす。正直、この2人には通常戦闘ではまだまだ追いつけない。けど、確実に近づいてきている。


 そして、ミノタウロスを狩りまくり、中ボスだと思われるひときわ体が大きいミノタウロスと遭遇する。キングミノタウロス。ミノタウロスの上位種だ。


 ミノタウロスは僕とお揃いの刺の付いた鉄球のハンマーを構え駆けて来る。


「ファイアーストーム!」


 ルルさんの手から出た、炎の濁流がミノタウロスを呑み込む。炎に包まれながらもその突進は止まらない。


「でえぃ!」


 デルさんの投げた巨大な斧は回転しながらミノタウロス王の顔に吸い込まれていくが、すんででかわされ、甲高い音と共にその角を1本弾き飛ばす。


 僕は前に出て、ハンマーを下段に構える。ミノタウロス王は大上段にハンマーを振り上げ、僕に肉薄する。


「グゥオオオオオーッ」


 ミノタウロス王は雄叫びを上げながら、ハンマーを振り下ろす。僕は渾身の力を込めて、下から掬い上げるような一撃を放つ。

 ミノタウロス王の方が早いが、僕は荷物持ち、収納スキルを極めた者だ!

 ミノタウロス王のハンマーを収納に強奪して、その無防備な顔面に強烈な一撃を叩き込む。手応えは軽い。

 ミノタウロス王は全力を両腕に込めていたから、顔には全く力が入ってなく、しかもカウンターだったので、軽くハンマーは突き抜けた。

 ミノタウロス王は後ろに回転しながら飛んでいくが、その首はあさっての方を向いている。

 そのまま力無く大地にぶつかり滑っていく。そしてそのまま動かなくなった。


「っしゃーっ!」


 僕はハンマーを突き上げる。


 一撃!


 一撃でミノタウロス王を倒したんだ。辛かったけど、強くなったんだ。僕は強くなったんだ。


「やった!やったんだ!」


 今度は僕から飛びついて2人に抱きつく。歓喜で涙腺が緩んだのか視界がにじむ。


「ラパンちゃん、泣かないのー」


 そう言うルルさんも涙が溢れている。


「ラパン!強くなったな」


 デルさんも涙ぐんでる。


「ありがとう、ありがとう」


 そのあと僕たち疲れて動けなくなるまではしゃぎまわった。


 疲れ果てて大地に寝っ転がって辺りを見渡すと、ミノタウロス王の傍らに僕たちを祝福するかのように、金色の液体をたたえたポーションが転がっていた。


  

 ラパンちゃんがだんだん脳筋の人外化していきます。ザップのハンマーの成長補正でのレベルアップも有りますが、ラパンちゃんはザップの無駄に上がりまくった剛力スキルを引き継いでます。


 みやびからのお願いです。


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 執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

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