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 進撃する小巨人を


「てえぃっ!」


 渾身の一撃で振り抜いたハンマーはトロールの頭を腕ごと叩き潰した。


 なんというのだろう、やっぱり力が入るときにはなんらかの掛け声が出てしまう。まぁ、逆に無言でハンマーを振り続けるのは怖いものがあるかもしれないが。


「うん、やるじゃない」


 ルルさんが僕の頭をポムポムする。背丈はあまり変わらないので背伸びしている。子供扱いは止めて欲しいものである。中身は成人男子なのだから。


「トロールは比較的戦いの相性がいいほうだからね。パワーもスピードもこっちの方が数段上だから、超回復があっても落ち着いて一撃で頭をやれば問題ないわ。普通だったら分厚い筋肉と皮でダメージいれるだけでもやっかいなんだけどね」


 ルルさんの言うとおりだ。落ち着いてかわして跳び上がり頭を叩くか、足を払って崩れた所を頭を叩いたら、比較的簡単に倒せると思う。けど、僕達のような見た目か弱い女子が筋骨隆々で、巨大なトロールより腕力が遙かに強いというのはいかがなものかと思うが。スキルとレベルというものは恐ろしいものである。


 吹っ切れた僕は破竹の快進撃を始めた。現れるトロールを一撃ないし二撃で確実に屠っていく。手に残る感触にはまだ慣れないけど、デルさんの人間モーニングスターにされるくらいなら、これを我慢する方がましだ。思い出すだけでも鳥肌がたつ。


 下層に行くに従って、変わったのはトロールの出現する数で、僕からすると彼らは鈍重なので、問題なく進撃していく。デルさんが先を走りながら索敵して、合図で僕が前に出て戦って、ドロップアイテムがあるときはルルさんが回収する。武器を持ってるトロールも現れ始めその武器も拾おうと思えば拾えるが、あいつらの手にしていた武器なんて気持ち悪くて触りたくもない。


 僕達は文字通り風のように迷宮を駆け抜ける。


 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 いつの間にかもう38層で、ここには安全地帯がなく、どこでエンカウントするかは解らない。戦力次第では挟撃されるとデルさんが言ってたが、僕達は抜群の索敵能力者がいて、しかも一所に立ち止まらないので、今まで通り問題なく進んだ。狭い通路での戦闘もあったが、それで不利になってたのは体が大きいトロールの方だった。


 つつがなく38層をクリアして、次は39層。最大5体トロールが現れる事があったけど、今の僕の敵ではなかった。鎧袖一触、叩き潰した。


 そして、今はフロアボスのいる部屋の扉の前だ。


 軽く食事をして休息する。僕は今まで頑張ってくれた愛用のハンマーを磨く。自己修復能力があるみたいだけど、今まで傷1つついてない。頼もしい限りだ。


 一口水を飲んで喉を潤し、僕は扉を開ける。フロアボスはボストロール。今までの修行の成果をぶつけてやる!



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