武器の手入れ 後
「じゃ、俺はこっちから磨くから、マイとアンはそっちから頼む」
まずは収納から出した水をかけながらタワシで汚れを取る。そこまでまじまじと見た事なかったけど、かなり汚れている。水が黒っぽくなる。多分、樹液と血糊と泥だろう。コイツでは魔物と同じくらいの数の木を斬ってると思う。なんか農作業が終わった農具を洗ってるみたいだ。まあ、武器のルーツは農具が多いって聞いた事があるから的外れじゃないだろう。ほどなく洗い終わり、振り回して水をきる。やっぱ凄えなこの剣、まったくしならない。どんなに早く振り回しても切っ先まで真っ直ぐだ。
「ねぇねぇ、あたしも持ってみていい?」
マイの声に素振りを止める。当然、マイとアンの事をかんがえながら振ってた。
「ああ、いいけど、落とすなよ」
「多分、あたしも強くなったから大丈夫だと思うけど、一応支えてて。アンちゃんもやる?」
「嫌ですよ。そんな事できる訳ないじゃないですか。化け物じゃあるまいし」
巨大な竜、化け物に化け物扱いされてる。なんか複雑な気分。
剣の刃の根元を持って柄をマイに差しだす。
「ご主人様、今、一瞬片手で持ちましたよね。見ましたよ。化け物、真正の化け物ですね!」
「うるさい奴だな。これくらい誰でも修行したらできるようになるぞ」
「「ならない、ならない」」
仲良くハモってるな。
「あたしが調べたところ、普通の人って、スキルのレベルには上限があるそうよ。けど、金色のスキルポーションを飲んだら、その上限が上がるらしいのよ。ザップ、聞いた事ないけど、今までどれくらい、金色のポーション飲んだの?」
「んー、マイたちと会ってからはほぼ飲んでないから、多分二~三十本くらいかなー」
マイたちに会う前、迷宮の底でヘルハウンドを狩りまくった。そのとき、三つ首の奴がよくゴールドを落としていた。多分、一日で二~三個飲んでて、十日くらい経ってたと思われるからそれくらいだろう。
「アンちゃん聞いた? ザップが出すスキルポーションっほとんど剛力だから少なく二十は飲んでるわよ。一本で十レベルくらい限界突破するらしいから、多分、ザップの剛力レベルは少なくても二百超えてるわよ」
「マイ姉様、レベルって十を最高に考えた力を数字で表してるものですよね。多分私がレベル十って事は少なくても私の二十倍」
「おいおい、そんな訳なだろ。さすがに他のスキルも手に入れてるだろ」
「証拠を見せるわ。これが剛力レベル四十よ!」
マイは僕が手にしてる剣の柄を持つ。レベル四十って、やばいなー。常人の限界の四倍かよ。そっかマイは鑑定持ちだから自分のレベルがわかるんだな。マイはなんとか僕が手を離しても持ててるが、まるで綱引きしてるようなポーズでぷるぷるしてる。マイにしては愉快なポーズだ。
「もうだめー。ザップ助けて」
「嘘だろ。もっといけるだろ」
「やばい、やばいって。早くもってー」
「しょうがないなー」
僕は山殺しをひょいっと取る。
「はぁ、はぁ、ザップ、多分レベル二百じゃないわ」
「そうですね。マイ姉様であんななのに、アレをあんなに振り回せるって事は……」
「なんか失礼だなー」
それから僕らは剣を置き、布でぴっかぴかに磨き上げた。次に山殺しを使うのが楽しみだ。
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