表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

215/2100

 レンジャーの戦い方


「これのどこが野伏レンジャーの戦い方なのか?と思ったでしょ」


 デルさんの所業に軽くびびってる僕を訝しんでると思ったのか、彼女は口を開く。


野伏レンジャーとは後衛職で、索敵、罠探知、罠作成、奇襲、炊事、洗濯、掃除、裁縫、早食いなどが得意で戦闘では飛び道具などでサポートする事が多いわ。ここまでは解る?」


 デルさんに僕は頷く。けど、なんか野伏レンジャーと言うより、デルさんの個人的な特技が入っていたような?けど、ボケなのか悪質な突っ込み待ちなのか判らないので、とりあけず僕は流しておく。森の悪鬼の機嫌を損ねたくはない。ついつい壁のシミになったトロールをチラ見してしまう。う、えげつない……


「当然、私の得意なのは弓などの投擲具。始めは私は弓をメインで戦ってきたわ。けど、弓は矢がいる。矢がなくなったら近接戦をするくらいしかできないし、矢を買うのにはお金がいるからいつも貧乏だった……」


 デルさんは遠い目をしている。昔をみているのだろうか。なんか話が長そうだけど聞かないといけないのだろうか?


「それは、デルが無駄に矢を撃つからでしょ、必要だった分はちゃんと経費から出してたわ!」


 ルルさんが軽く抗議するが、デルさんは軽く頷くだけだ。これは聴いてないな。


「それで、しばらくは投石具なども併用してたんだけど、パーティーでの長期戦も増えて、いつも矢や石の不足に悩まされるようになってきたわ。それで、斧も使うようにして前衛に立つ事も増えてきた。けど、私はなんか違和感をいつも感じてた。近接戦闘では、非力さ故にどうしてもアンジュやミカには及ばないし、後衛では魔法を使うルルにも及ばない。それに私が得意なのは投擲、ものを投げる事。百発百中の技術を生かしたい。そう思っていた矢先、戦闘中に投げるものがなくなったわ」


 デルさんはそこで一呼吸おいた。なんか非力って言葉が聞こえたが気のせいだろう。


「その時ひらめいたの。あるわ、なげるものが、私は目の前の魔物を引っ掴んで後続の魔物に投げつけたわ。そのとき投げた魔物も投げつけられた魔物も一度に両方倒す事が出来た。こうやって野伏レンジャーとしての新しい戦い方を編み出して、私はパーティーのお荷物にならなくてすんだのよ」


 デルさんはキラキラした目でじっと僕を見据える。


 それで、僕に何を伝えたかったのだろう。


「要は、私が言いたいのは、戦いには自由な発想が必要って事よ、ザップ兄様は敵の魔法や特技を収納に入れる事で窮地を逆に好機に変える戦い方を身に付けた。その自由な発想に感化されて、弓矢の矢不足に悩んでた私は気付く事が出来たの。身の回りには矢になるものが沢山あるという事に。魔物でさえ矢の代わりになる。そういう自由な発想を忘れないでほしいのよ」


 敵の間接攻撃してきたものを収納に入れるのは練習していこうと思う。


 けど、魔物を矢として見られるのはあなただけですとは僕は言えなかった。自由と言うよりも、むしろ破天荒だろう。


 僕達は立ち上がり出発する。デルさんの話は無駄に長かったけど、幾分緊張は和らいだ。デルさんもルルさんも強い。この2人がいるだけで頼もしい。僕は次からは余計な事は何も考えず戦う事にした。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ