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 森の悪鬼


 これからの階層からは、トロールが出て来るという。


 トロール。


 神々の時代にあった光と闇の戦いで、闇の先兵として戦ったと言われている。巨人族の中では小柄な方だが、その体躯の大きさは人間を遙かにしのぎ、特筆すべきはその超回復能力。首を刎ねたり、心臓を潰したりしない限りみるみるうちに回復すると言う。


 冒険者たちにトロールは森の悪鬼と呼ばれ恐れられている。その戦闘能力と、ずんぐりむっくりとした見た目に反した凶暴性で、ある程度腕がたつ冒険者でもその姿を見ただけで、逃げの一手だそうだ。


 階段を降りながら、滔々とルルさんが語ってくれたのだが、出来ればそんなに恐怖心を煽らないで欲しかった。


 僕は緊張しながら次のフロアに降り立った。


 道はいままでよりも広めだけど、トロールが出る事とは関係ないそうだ。39層までのトロールが出る階層では、魔物が徘徊ワンダリングするのは38層だけで、あとは部屋の中にいるだけだそうだ。この迷宮は特殊で、それ故オークが出た29層までは実力に鑑みて計画的に攻略出来るそうだ。


「次の部屋に一体いるわ」


 デルさんが僕の肩を叩く。ビクッとしてしまう。そしてたたらを踏んでしまう。


「んー、ラパンちゃんがっちがちね。ちょっと大袈裟な話しすぎたかなぁ」


 そりゃそうだ。闇の先兵で、凶暴で戦闘能力が高いと聞いて、びびらない訳がない。


「ち、ちょっと緊張してるかも……」


「ちょっとじゃないわね……はぁ」


 デルさんがため息をつく。けど、僕はまだ初心者だから勘弁して欲しい。


「じゃ、なぞなぞを1つ」


 ルルさんが指をたてる。


「トロールが好きな食べ物はなーんだ」


 唐突に明るい声を出す。


「うーん、人間かな?」


 デルさんがいきなりダークな言葉をぶっ込む。


「解んないよ」


 僕は正直に答える。


「答えは、マグロ。マグロってトロって言うでしょ、トロールなだけにトロが好き!」


 僕は正直ルルさんが何を言っているのか解らなかった。


「あ、ごめーん、面白くなかった?けど、すこしは緊張がほぐれたでしょ?」


 ほぐれる訳がない。


「じゃ、仕方ないわね、あたしが見本を見せるわ」


 デルさんが先頭に立つ。


 次の部屋に入ると、果たしてトロールが一体いた。


 デルさんはずかずかと前に進む。


「私が野伏レンジャーの戦い方を見せてあげるわ」


 デルさんは飛び込み、それを狙った丸太のようなトロールの腕を地面擦れ擦れを這うかのように屈んでよけ、その足を掴むと、数回振り回してぶん投げた。それは壁にぶつかり原型を留めない位に爆ぜ飛び散った。


「いくらトロールでも、頭を潰すと一撃よ!」


 どこがレンジャーの戦い方なのだろうか?僕は森の悪鬼とはエルフの事なんだなと学んだ。

 


 森の悪鬼、格闘女王デルさんの初活躍です。痩身から繰り出される技の数々は周りの人々を魅力してくれる事でしょう。デルさんの出る回は人気が高いので後にほぼ準レギュラーの地位を獲得してます。エルフ最強!

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