ちゃれんじゃー に
「そのお姉さんが移動用のゴーレムなのはわかった。だが、なんで女性なんだ?」
つい疑問が口をつく。絶対にロクでもない答えが返ってくるのはわかってる。けど、ツッコみの人がはけてしまってるから、僕が言うしかない。
「そりゃ、決まってるだろ。女が好きだからだ。乗るなら馬より女の方がいいに決まってるだろ」
確かにそうだ。けどさ。
「そんな魅力的な女性に乗って移動してたら、目立つだろ。それになんか虐待みたいに見えるだろ」
「おいおい、虐待って何言ってんだ? だからバイクだって言ってるだろ。バイクは乗るものだ。お前だって馬や荷馬車に乗るだろ。当然の事だ。それに俺は賞金稼ぎだ。目立ったがいいに決まってるだろ」
なんか言葉が噛み合ってないような。確かに奴が言う事は道理だ。けど、そんなんじゃないんだよ。あのバイクと呼ばれてるジェニファーさんにまたがって街道を走り抜ける勇気は僕には無い。なんでそれが通じないんだよ。なんか最近ここに腕試しに来るのは、こんなんばっかだ。隣のリナといい。
「すげぇな、お前気に入った。乗っても、妾も乗ってもいいか?」
リナはキラキラした目でジェニファーさんを見てる。まじか!?
「しょうがねーな。軽くレクチャーしてやる」
乗り方を教えてもらってリナが爆走している。美女の上に美少女が抱きつくようにまたがってる。ジェニファーすげぇ、曲がったり止まったりするたびにブルンブルン揺れている。これ、絵的に大丈夫なのか? 十八禁じゃないのか? なんかさらにギャラリーが増えてる。逃げたい。リナたちが僕の隣にキュキュッと停まる。そのまま乗ってどっか行けよ。
「ふぅわぁぁーっ。たのしかったぞ。ザップも乗るか?」
「乗らんわ!」
「お前、コイツを売ってくれないか?」
「ダメだ。ジェニファーは一点ものなんだ。工房に帰れば似たようなものは作れるが、遠いからな。いつか国に帰った時には考えてやる」
なんか、二人とも仲良くなってるな。頭の中身が似てるんだろう。
「お前、ザップに挑戦したいんだろ。ザップに負けたらそのバイク置いていけ」
おい、リナが相手するんじゃないのかよ。
「ふっ。なら、俺が勝ったら、そうだな。嬢ちゃんの体を型取りさせてくれ。ジェニファーは大人の男に人気だからな。もっと若い奴には嬢ちゃんの方が人気ありそうだからな」
「型取り? なんか気持ち悪いが、まあ、ザップなら負ける事ないからいいぞ」
いいのか? 裸で型取りするんだよな。少し見たいかも。違うって。
「ちょっと待てい!」
なんか勝手に話が進んでる。そんなセクシーな乗り物貰ったらマイが怒る。絶対に怒る。今も遠くで顔をしかめている。
「そもそも俺、戦わないから。リナ、相手してやれよ。俺を巻き込むなよ。それに、戦って勝ったとしてもそれ、いらないから」
「なんだと。お前、ジェニファーがいらないのか? と言う事は男型のバイクがいいのか?」
奴が手を差し出すと、その先にガチムチ髭巨漢のバイクが現れる。止めろ。ウィンクするな!
「男型なんかもっといらないから」
マッスルバイクが消えて次はデカいモフモフが現れる。
「もしかして、動物が好きなのか?」
なんと、ヌコ。でかいヌコだ。手がフラフラと伸びる。
「にゃーん」
鳴いてる。僕に向かって鳴いてる。これは夢、夢なのか?
僕は必死に違うとこに目を向ける。
「まあ、猫、猫耳は好きだけど、動物型も、いら、要らないから」
いかん、ついフラフラと近づいてしまった。要らない! 要らない! けど、想像してしまう。でっかいニャンコにまたがって荒野を疾走する僕。最高だろう。けど、今まで積み上げてきたものを間違いなく失ってしまうだろう。
奴が手をかざすとニャンコも消える。ああニャンコ……
「わがままな奴だな。何を賭けたら素直に勝負に応じるのか?」
あと何台バイクを収納に持ってるのか気になる。凄い技術力だ。けど、もう勘弁して欲しい。家帰ってシャワー浴びてまったりしたい。
「だから、戦わないって。おい、マイ、アンジュ。代わりに戦ってくれよ」
マイ、少女冒険者のリーダーのアンジュも人混みに隠れた。いつもだったら喜んでぶちのめしてくれるのに、奴と戦うのは嫌らしい。僕も嫌だ。変態と戦ったら変態と同類になったみたいでヤダ。
「ザップー!」
ん、この声はアンジュ。
「ザップ!」「ザップ!」「ザップ!」
アンジュの声を呼び水に、僕の名前がコールされる。ここにはルールがある。観客のコールには応えないといけない。
「ザップ、頑張れよ。妾が審判してやる」
リナが僕の肩を叩く。
しょうがない。やるしかないのか……
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