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 中層を駆ける


「この次の階層からは、ハンマー出してもいいわ」


 ルルさんから許可が出たので収納からミノタウロスのハンマーを出す。あと磨き用の布を出して、『はぁ』と息を吹きかけて磨いていく。正直、このでっかい金平糖みたいな金属の塊を愛おしく思う。


 今僕達がいるのは地下25層から下に降りる階段のある部屋だ。ここは安全地帯だそうなので、座って休憩している。

 19層で会った冒険者たちとの約束を守って、僕達は出会った魔物を全てかわして先に進んだ。

 出て来る魔物はオーク。闇の生き物で豚と人間のハーフと言われている亜人だ。その性質は貪欲、食べれるものは何でも食べ空腹なら同族ですら躊躇いなく腹に収めるという。あらゆる人種と子を成す事が出来て性欲も止まる所を知らないという。

 まぁ、それを教えてくれたのはエルフのデルさんで全てのエルフはオークを嫌悪してるらしい。豚・即・斬というのがエルフの合い言葉らしい。

 オークの見た目は、豚と言うよりも二足歩行の猪で食べられるらしいけど、僕的には食物認定出来ない生き物だった。


 デルさんの索敵能力のお陰で、最小のエンカウントで進んだけど、どうしても遭遇する所ではかわしながら先に進んだ。

 けど、先に進むにつれて一度に遭遇する数が増えて、その難易度は少しづつ上がっていった。

 一回だけ不注意で転倒して捕まってしまって、一撃その豚面に拳を叩き込んでしまった。オークは一撃で死にはしなかったが、捕まるなり胸を揉まれたので気持ち悪くて加減を忘れてぶっ殺してしまう所だった。夢に見そうだ……豚、食べれなくなりそうだ。


 ルルさん言うには、何故冒険者たちがオークを残して欲しがってたかと言うと、オークのロースハムは街で高値で取引されていて、死んですぐに血抜きしないと価値が下がるそうだ。

 余談だけど、特に秋口のオークは木の実などの肉が臭くなりにくいものばっかり食べているので特に美味しく、秋オークと呼ばれてさらに価値が上がるらしい。まじ、猪かよ。


 僕達はしばらく休み階段を降りる。ここからは攻撃解禁だ。僕はハンマーをしっかりと掴む。ゴブリンを倒すのは少し抵抗があったけど、豚は話が別だ。セクハラされたトラウマで、かなりヘイトが上がっている。


「くたばれ!この豚やろう!」


 我慢出来ないのかデルさんもオーク退治に参加する。デルさんのクラスは野伏レンジャーという話だったけど、誰も信じないだろう。手にした巨大な斧でオークを両断していくその姿はどっからどう見ても狂戦士バーサーカー野人バーバリアンだ。目も若干ギラギラいってて、すこし狂戦士バーサーカー寄りだと思う。僕も負けじと気合いを入れる。気を抜くとオークを全部持っていかれそうだ。


「豚・即・斬!クソ豚が!」


 完全に性格が裏返ってしまったデルさんに恐怖を感じつつオークを倒してるうちに、あらよあらよで29層にたどり着いた。フロアボスで出て来たのはオークキング。


「ウォオオオオオッ!」


「ブターーーーーッ!」


 巨大なオークに僕が横から一撃与えるのとデルさんが投げた斧がオークの首を落としたのはほぼ同時だった。危ない、あと少しで飛んで来た斧で、僕も首を持っていかれる所だった。


『エルフはオークが大っ嫌い。冗談でも危ない』


 僕は心にその事を刻み込んだ。


 

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