姫と筋肉 筋肉の秋 5
あと8日で発売ですよー。メロンブックス様とゲーマーズ様でご購入いただいた方には先着でSSのリーフレットがつきます。私、SSを沢山書いてますけど、当然、完全書き下ろしです。ご興味がある方はぜひお願いします。
追伸 メロンブックス様のリーフレットのサンプルをサイトで見ました。表紙のマイちゃんと、アンちゃんがより見やすい配置になってますので、ぜひ、見てみてください(^_^)
「それ、お前が原因じゃねーか。おめーから魔物が逃げてんだよ。世界が平和になった訳じゃねーよ」
つい、大声出してしまった。このままじゃ今日の稼ぎがほぼレリーフからの小遣いだけになっちまう。
「相変わらず騒がしい奴だな。逃げたなら逃げたでそれでいいじゃないか。無駄な争いは避けるに限る」
「何言ってんだよー。討伐依頼で魔物が逃げたら稼ぎにならないだろ。お前らどうやって稼いでんだよ」
「そりゃ、護衛と迷宮に決まってるだろ。そうか、だからデュパンは護衛ばっかりとってきてたのか」
「そうかじゃねーだろ。気付けよ。あーあ今日はボウズだよ。秋なのに、美味いもの食いたいのにー」
「そうだな、しょうがないな、今日は、お前もトレーニングだな」
「しねーよ」
「察しが悪い奴だな。今日は俺が飯を奢ってやる。だから、今日はあんまり動いてないだろ。体動かさないと太るだろ」
「太る? 誰を見ていってやがる。良ーく見ろ。言え、言ってみろ! どこが太ってんだよ」
僕はレリーフの前でくるりとまわる。失礼な奴だな。確かにすこし肉が増えたような気もするが、太ってない。決して太ってないはず! レリーフは僕を上から下まで眺めていたが、脇を向いて腕を組む。
「非常に言いにくいんだが、お前のためだ。お前は膝裏がエッチなんだよ」
「はぁ?」
コイツ、今、何言った? 膝裏がエッチ? こいつの口から下ネタに近い言葉が放たれる事があるとは……筋肉を愛して恋してるんじゃないのかよ? エッチって僕をそんな目で見てたのか? いつも散々、胸が無いとか、色気無いとか男っぽいとか言ってたくせに。それにそもそも膝裏がエッチってなんだよ。コイツ、もしかして女子の膝裏を見て興奮する系のすこし斜め上な癖を持った奴だったのか? キモッ! 僕は無意識にレリーフから離れる。
「お前、なんか勘違いしてるだろ」
「勘違いしてないわ! 変態がッ!」
「聞け! お前、自分の膝裏を見てみろ。前まではつるっとしてたのに、今は肉がついてエッチの字がはっきり浮き出てるぞ。スクワットだ。スクワットが足りてないぞ」
まじか! そこらの若い女の子たちみたいな膝裏になってるって事か。体を捻って見ようとするが自分じゃ見えない。
ごきゅっ!
あ、いかん、首、曲げすぎた。
「しょうがない奴だな。レリーフの名において命ずる。出でよ『デモンズミラー』」
レリーフの前に全身鏡が現れる。縁は骨っぽい装飾で覆われている。
「どうだ。新たなアンデッドと契約した。便利だろう」
「おいおい、これのどこがアンデッドなんだよ。そもそも鏡って死ぬのか?」
なんかデモンズミラーとか言ってたし、それ、悪魔系なんじゃないのか?
「コイツがアンデッドって言ってるからアンデッドだ」
「じゃ、僕が僕をアンデッドって言ったらアンデッドになんのかよ。そもそもお前、アンデッドって言ったらなんでも片付くって思うなよ。そもそも、何で鏡と契約したんだよ」
女の子の僕ですら、収納の中に全身鏡は入ってない。そもそも全身鏡はクローゼットのそばにあってこそ意味がある。収納スキルは便利だけど、ほとんどの服はクローゼットの中だ。着こなしを見比べるのには収納スキルは不便なんだよね。
「決まってるだろ。筋肉とポーズの確認だ」
聞くまでもなかったな。
まあ、便利だからどうでもいいか。僕は鏡の前に立ち、膝裏を見る。H、素晴らしくHだ……こんな見えないとこに肉が……
気がついたら僕はスクワットを始めていた。痩せないと……
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