三代目と初代
「それで、なんとか戻ってきた訳よ」
マイがあっちで起こった事の説明が終わる。
カナンを踏んでしまったのは事故だという事で納得しては貰えた。そのカナンはまたもやフリフリした可愛らしい服を着させられてる。着せ替え人形か?
さっち消えた者たち、町の住民、言霊使いたち、マイたちが行ったのは迷宮。石造りでかなり広い迷宮で、最深部まで行かないと外に出られない仕様。マイたちは言霊使いたちが、先に脱出したのはその時は知らなかったそうだ。カナンの仲間たちの知識と力を借りて迷宮を下に下にと進み、最下層でボスを倒した。そのあとに出てきた、管理者を名乗るスケルトンが先に出た者がいる事を説明してくれ、急いで出たら、僕が全裸で女の子を踏み付けていた……
カナンとマイがカナンの仲間たちを紹介してくれた。盗賊のミーに、暗殺者のアムド、あと、魔法使いのマリンと、レイとライという双子の戦士。なんかいつの間に人数増えてないか。けど、揃いも揃って女の子しかいねーな。まあ、先生と呼ばれてる化け物はいるが。その女の子たちをセクハラしまくってるパムの言葉が心に刺さる。
「男女比率がおかしいとこ、ザップさんの半身だけあるよね。オイラ感激!」
別に女の子ばっか仲間にしてる訳じゃねーよ。けど、知り合いの男にはロクな奴いないよな。パムとかレリーフとか。
まあ、それは置いといて、見極めないとな。
「カナン、男に戻れ」
カナンの大きな目が見開かれる。
「えっ、もしかして、ザップ、男の方がいいの?」
「ちげーわ。その格好だとやりにくいだろ」
「やりにくい……」
ゲッ、まだカナン、誤解してるな。
マイが助け船を出してくれる。
「ザップはいつも言葉が足りないのよ。ザップはカナンちゃんと戦ってみたいんでしょ」
「そうだ。お前と手合わせしてみたい」
「貝合わせ?」
「黙れパム!」
パムが謎言葉を吐くが絶対ロクな意味じゃない。
「それならそう言いなよ。別に僕はこのままでも構わないよ。どっちの体でも力は一緒だよ」
「いや、俺がやり、戦いにくいんだよ。本気が出せない」
「それはそっちの都合だろ」
立ち上がったカナンが僕に何かを出して放ってくる。掴むと棍棒だ。カナンも棍棒を手にして襲いかかってくる。
「先に一撃入れた方が勝ちっ」
うわ、戦い方まで似てる。僕が先制に好む横薙ぎ。大きく下がってかわす。そこに追撃で振り下ろし。左に回り込むようによける。カナンも右利きだから、こうされると追撃しにくいはず。僕とカナンは見つめ合う。か、可愛らしいな。やりにくい事この上ない。そうだ! カナンに合わせて、封印したスキルTSを解放するか? いや、さすがに胸丸出しは良くないだろ。けど、ここにいる男ってパムだけだからいいのか? いや、絶対にマイに怒られる。それに僕がスキルを使っても戦いにくいのは変わんないしな。
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