迷宮組の帰還
「やっと、終わったのか?」
僕は辺りを見渡す。瓦礫まみれの更地。あんま意味なかったな。以外に場所を使わなかったし。
『なに、女の子踏み付けて感慨に耽ってるのよ。それより、私の体集めるの手伝ってよ』
どっからかジブルの声がする。
え、足下を見ると、僕に踏み付けられて半分地面に埋もれてるカナン。しかも全裸……いつもだいたいこんな時に……
「あーあ、酷い目にあったわー」
ゲッ、マイの声。帰ってきたのか、しかもこのタイミングで! 見ると、続々と仲間たちも現れる。驚きで体がビクンと跳ねる。あ、よりカナン踏んづけてしまった。足裏柔らかいな。どかないと、けど、色々と無茶し過ぎたから体が動かない。
「ぐえっ」
おいっ、声だすなカナン。ど、ど、ど、どうしよう!! あ、マイ見てるこっち。目が合った……
「ゲッ、何してんのよザップ!」
せっ、説明しないとっ!
「たっ、倒したとこっ!」
『カナンちゃんを裸にして押し倒して、踏んづけてるとこよー』
骨の声がする。間違ってないけど、言い方っ!
「うわっ! 裸でおっぱい踏んでますねー。マイ姉様、あれってドSって言うんですよねー」
喜ぶなアン!
ん、なんか辺りが急に寒く……
「ギルティ!」
マイの姿がブレて消える。
「ふごぉっ!」
気がつくと僕は腹に痛みを感じながら吹っ飛ばされていた。見えなかったぞ。強い、絶対にスキルなしだとマイの方が僕より強い。
「マイ、俺じゃなく言霊使いにその力を使って欲しかった……」
僕の言葉を聞いてくれる人、誰もいねーや。
「大丈夫? 鼻血なんか出しちゃって。酷い目に合ったのね」
「大丈夫? カナン」
なんかカナンにマイを含む女の子数人が群がって甲斐甲斐しく世話してる。なんか僕とは天と地の差だ。同じ遺伝子なのに。僕は瓦礫の中から立ち上がり、まあ、いつもの腰巻きを装備する。タブレットを出して見るけど、無いや服の予備。汚れてるのしか無い。もっと服を買おう。特にパンツ。
「コナーン、大丈夫かー?」
先生が走ってくる。嬉しそうにオマールハサミを振りながら。見るからに元気だな。さてはあいつ、言霊使いが滅ぶまで死んだフリしてやがったな。まあ、終わったからいいけどさ。
なんか次々と瓦礫の上にテーブルと椅子がセットされて、飲み物なんか用意されてる。準備してるのはスタイルがいい露出度高い女の子と目つきがきついダークエルフのお姉さんだ。みんな思い思いに座ってる。見渡すと仲間以外に知らない奴も結構いる。その中にはいつの間にか人間フォームに戻ったジブルもいる。復活はえーな。まあ、なんか熱心に手振り交えて話してるみたいだから、さっきのあらましを説明してくれてんだろう。なんかマイに気を使ってか、誰も僕に話しかけてこない。誤解が解けたら大丈夫だろう。ジブルの話にみんな耳を傾け、言霊使いの最期をジブルが話す。そしてジブルが野太めの声を出す。
「そしてザップはカナンちゃんを踏みつけて言ったわ、『痛い思いしたくなかったら素直に言う事を聞け!』」
「そんな事、言ってないわ!」
ぺっちーーん!
手加減してジブルをどつく。あとは僕が説明した方が良さそうだな。
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




