ルーツ オブ キメラ
『鍋島テツヒロ』先生!
書籍『最強の荷物持ちのハーレムライフ』のイラストレーター様です。ご存じの方も多いと思いますが、来年二期が決定してるTVアニメ『片田舎のおっさん、剣聖になる』のイラストを描かれてる方です。当然、私の作中にも想像を上回る素晴らしいイラストをいただいてます。マイさん、アンちゃん、めっちゃ可愛いですが、ザップさんの格好良さには鳥肌たちました。ぜひ、手に取っていただけたら幸いです。
『じゅるりっ』
スケルトンなジブルから変な音がする。見ると手の甲で口を拭うジェスチャーをしてる。
「お前、ホネだから、よだれ出んだろ」
『私だって日々進歩してるのよ。あと二十以上は新しいサウンドエフェクトを使えるようになったのよ』
「なんだよお前、シンセサイザーにでもなる気か?」
魔道都市でしか作れない、魔道シンセサイザーって楽器は最近流行してる。
『そんなわけないじゃない。街でスケルトンで生活するには言葉だけじゃ足りないのよ』
スケルトンで街に出るなよという言葉を飲み込む。こんな日常会話してる場合じゃない。目の前では、白竜ディアシーと三頭竜、先生と呼ばれたキメラと忍者たちが睨み合ってる。
『それにしても美味しそうなキメラでしょ』
何言ってんだコイツ。あのキメラのどこが美味そうなんだ? どう見ても化け物、失敗作寄りの化け物じゃねーか。
『この前ねー、学園のゼミで闇鍋したんだけど、うちの子たちが、オマール海老と肉は鶏モモ、白菜、豆腐にネギ、キノコ』
今、まさに戦いが始まろうとしてるのに、鍋の話なんかすなや。けど、コイツ、喋り終わるまで続けるからな。適当に相槌打って終わらせよ。
「闇鍋じゃないじゃん、普通に美味そうな具材じゃねーか」
『でしょー、うちの子たち闇鍋って言ってるからもっと激しい食材持ってくればいいのに、シュール・ストレンミングとかホンオ・フェとかエピキュアーチーズとかキビヤックとか、脱ぎたてのパンツとか靴下とか』
そのシュールなんとかは聞いた事ある。確か世界一臭い食べ物って言われてるものだったな。他のものは知らないけど、臭い食べ物って事だろう。けど、パンツと靴下は食べ物じゃねーだろ。臭いつながりか? けど、ツッコんだら負けだ。
けど、ジブルと違っていい生徒さんたちだな。美味しい鍋にしようと思ってたんだろな。
『だから、私が生きたスッポンぶち込んでやったのよ!』
ドヤるな。もしかして、普通の鍋の予定だったのにコイツが闇鍋にしたんじゃねーか? 鍋の中でもがき苦しむスッポン。地獄だ。そんな鍋食えるか。
「それで、本当に美味かったのか?」
『最初は激マズだったけど、気の効いた子が、チゲ鍋にしてくれたのよ。それは美味しかったわ。だからキメラの素体で作ったのよ。まあ、さすがに鶏モモは良いパーツが無かったから我慢して馬の足にしたけど』
うん、チゲ鍋は無敵だ。けっこう攻めた具材が入ってても素直に美味しい。特にオマール海老とチゲ鍋の相性はサイコーだ。担々麺とは少し違う方向性の美味さがある。もう少しオマール海老がリーズナブルな価格なら、僕の収納のストックフードは小鍋のオマールチゲになってた可能性もある。
けど、鍋が美味しかったからという理由でキメラを作るこいつの頭の中身はどうなってるんだろうか? あの、犠牲者のホブゴブリンもこの話を聞いたら泣くんじゃないか?
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