キメラ
少女ディアシーが駆けていく。巨大な三頭竜とその前に構える忍者に向かって少女が走っていくのは、なんか鬼畜の所業をしてしまったんではと思ってしまう。
ディアシーの服が消え去ったと思ったら、その体が白く光り膨れ上がり安心する。純白の鱗に覆われた巨大な生物が現れる。こっちから尻尾と背中しか見えないから、大きさを考えないなら少し可愛らしい。その巨体をかわして五人の忍者がこっちに向かってくる。あれ、二人消えた。
「うわっと」
僕はジブルを投げ捨てて大きく横に飛ぶ。後ろからいきなりなにか出てきやがった。手に反対に反り返ったナイフを持った忍者。なんかほっそいヤツだな。もっとこいつの身体能力が高かったら食らってただろう。そいつは身を翻して、更に攻撃してくるが、かわして蹴ったくってやる。硬質な感触だが、そのまま蹴り抜いてぶっ飛ばしてやる。さっきのはなんだ? 瞬間移動か? そんな能力を持ってるなら、迷宮から抜け出すのが早かったのも道理だ。
カナンが僕と近づいてくる忍者の間に入る。
「先生っ!」
「おうよ、コナン!」
カナンの隣に大柄な深緑の生き物が現れる。先生? コナンってなんだ?
「けっけっけっけ。おでの試運転には最適だなー」
なんかキモい笑い声を上げてる。横顔から多分ホブゴブリンだな。僕が数え切れないほどハンマーのシミにしてきた。なんでホブゴブリン。呼ぶならもっと強い魔物を呼べよ。
「へんっしんっ!」
ホブゴブリンがなんか腕を回してポーズをとる。隣でカラカラとジブルが嬉しそうに骨を鳴らしている。もしやジブルが関わってるのか? やな予感がする。
現れたホブゴブリンの体から茶色い泡のようなものがボコボコ浮き上がる。なんだありゃ? 甲羅? ん、足は馬みたいだな。え、手はザリガニか? あの姿は見たことがある。なんかジブルがキメラのスケッチとかいって自慢げに見せてきたやつだ。まさか完成してるとは……
『さすがザップね。気付いたようね。あれは私の自信作よ。まずはエネルギー問題を解決するために、タイタンの魔道機関をコアに、デビルスッポンのボディにケルピーの足、あと、竜の鎧さえも挟んで砕けると言われてる、ジャンイアントデンジャラスオマールのハサミを両腕に装備してるわ』
なんか言ってることは半分しかわかんないな。デビルスッポンってなんだよ。確かジブルの好きな食べ物ってスッポンとオマールのハサミとか言ってたような。ということは、しらないだけで、ケルピーの足もジブルの好物なのか?
「かかってこいやー!」
そのキメラが忍者に突撃する。
「さすが! 先生かっこいいぜ!」
かっこいい? あれがか? カナンって、僕と同じ細胞でできてるんだよな?
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