三頭竜
あと、書籍の発売まで一ヶ月。なんかドキドキしますねー。『最強の荷物持ち』で検索していただけると表紙出てきますので、ぜひ、かっこいいザップさんの姿、見てください(^_^)
「なんだこりゃ。なんか召喚してるのか?」
『あり得ない。今、ここの空間は特殊だから、異界に繋ぐことはできない』
「けど、なんだありゃ?」
僕たちがいたテーブルは跳ね飛ばされ、地面から森の奥の巨木より太い蛇みたいなものがのたうちまわりながら、せり上がってくる。一、ニ、三本。その内の一本が飛び上がった言霊使いに向かって伸びる。なにもなかったその先端に目が現れ、先が割れる。蛇? いや竜? その割れ目に言霊使いは飲み込まれる。竜の口がこちらを向き、その中に奴は座っている。三つの長い首、その体のわりには小さい両腕、尻尾がついた太い足。僕は今まで見たことがない、首が三つのドラゴンっぽい怪物が現れた。
『多分、カナンの収納から出てきたのね。入れた群衆にアンみたいに人間かなんかに化けて紛れ込んでたのかもね。あれはヤバいわね』
「何がだ?」
『あの見た目、なんかどっかで見たことあるわ。色が違うだけで完全ななんかの創作物のパクりじゃない』
「そんなの知るか。お前、自分がほぼ不死身だからって余裕あるな。こんな時までふざけるなよ。空気読めよ」
「読んでるわよ空気。だって、あれ、弱そうだもん。私のヒドラバージョンよりちっこいし、首三つしかないし」
まあ、確かにそうだけど、なんか隠し球をもってるかもしれない。
「ザップ、あいつ倒していいのか?」
僕たちより、遠くに避難してたカナンが駆けてくる。その隣には、ディーもいる。こいつもドラゴンなんだよな。あの三つ首にぶつけてみるか。けど、どうも能力はカプに似て防御系っぽいよな。
ん、三つ首ドラゴンの足下に、地面から人が這い出してくる。五人、黒装束を着てる。忍者か?
『おかしいわね。カナンの迷宮を踏破しないと出てこられないように設定したのに、多分なんかバグったスキルもってる奴がいるわね』
「それより、マイたちはどうなってんだ?」
それに応えたのはカナン。
「んー、まだ地下三層にいるみたいだよ。あいつらがどうやって抜けだしたのかわかんないよ」
忍者たちがこっちを見て構える。三つ首ドラゴンが言霊使いが入ってる首を持ち上げたと思ったら、その喉が動く。食いやがった。なんで、言霊使い食われたんだ? 正直、訳がわかんない。けど、それを皮切りに忍者たちが向かってくる。その後からドラゴンが大地を揺るがしながら歩いてくる。とりあえずやるしかないか。
「おい、ディーって奴。ドラゴンなんだろ、変身しろ」
「なんで、わしがお前に命令されるんだ? わしは好きなようにやる」
「担々麺食べただろ。それくらい働け」
「うぅ、わしはどこに行っても、食べ物でこき使われるんだな。しょうがない。みておれ。我が名はディアシー。古竜の最強の一角にして、その権能は『金剛の盾』。決して砕けることなき力、見せてやる」
なんか、中二まるだしのセリフを吐きながらディーは駆け出す。古竜に羞恥心はないんだろう。なんかうちのアンを褒めてやりたい。あいつは変身するときは大人しいだけ分別がある。
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