ヤコトヌシ
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「くっ、ど、毒を盛るとは卑怯なっ……」
言霊使いがブクブク泡を吹きながらなんか言ってる。さっき、毒は効かない的な事を言いかけてたよね。
『フフッ、忍者のボスからそういう事言われると嬉しいわね。褒め言葉にしかならないわ』
ジブル、嬉しそうだな。サイコパスかよ。
『大丈夫よ。死んだりしないわ。ただしばらく体が痺れて口だけしか動かないけど。けど、おかしいわねー。ザップにも同じ量入れたんだけど』
酷ぇ。敵味方お構いなしかよ。さっきのスパイシーな味が毒の味だったのか。なんか本場の高い豆の風味かと思ったのに。
「ジブル、言霊使い、言葉が武器のやつが喋れる状態っていうのはまずいんじゃねーのか?」
『まあ、そうだけど、私とカナンは大丈夫だから、危険なのはザップだけよ。多分言霊使いの能力は自殺はさせられないんでしょ。まあ、ザップが暴れたら私は逃げるから問題ないし。それに、お婆さん、私たちと色々話したいでしょ』
婆さんが、首を上げて話し始める。
「まあ、元々そのつもりだったしな。そう言えば自己紹介がまだだったな。私の名は『ヤコトヌシ』。元、和国を統べる『八百万の神』の一柱だ」
『えっ、巫女じゃないの?』
「巫女じゃない。神だ」
ん、神様? 自分の事を神って言う痛い人じゃないのか?
そして、婆さんは自分語りを始めた。ジブルはそばに座り、ディーはカナンを守るように座ってる。婆さんは言葉が不明瞭でジブルみたく脱線するので纏めると。
言霊使いは『ヤコトヌシ』と言う和国の神で、和国で色々頑張ったのに裏切られて自分を奉じる一派もろとも追放されたそうだ。今の体は自分を信じる巫女のもので、一時的に借りている。各地を放浪したけど安住の地にはならず、ドバンに流れつき居ついた。自分を追放した国に攻め込むために力を溜めてるそうだ。それがどうしたって感じだ。
「で、なんで俺を襲うんだ? 訳わかんねーよ」
「神の力は信仰と畏怖。信仰が足りんなら、畏怖を得るしかない。私の持つものは古代からの信仰『猪神』の力。山と言霊。これだけでは『太陽』には届かぬ。だから、お前を倒す事により、『猿神』の力を手に入れる」
いのししつかみ? さるつかみ? 猪や猿を掴むのか?
『ちょっと待って、『さるつかみ』の力って何?』
ジブルが割り込んでくる。
「なんだ? お前ら知らないで使ってたのか? 『猿神』の力は先導。多くの国で猿の神が守るのは山と野の境界。境界を越える力は厄介極まりない。おしゃべりはここまでだ。ザップ・グッドフェロー。ここで滅びよ」
婆さんはそう言うとその場で飛び上がる。そして、地面から大きな何かがせり上がってきたので、僕はジブルを抱えて大きく後に飛ぶ。
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