熾烈な闘い
「ラパン、一番にランチセットだ!」
調理長の威勢のいい掛け声が響く。けど、それもすぐに喧騒にかき消される。
「はい!シェフ!」
僕は全力で料理を運ぶ。
「ルル、3番にランチセット2つだ!」
「はい、シェフ!行きますアクセル!」
ルルさんはさっきから加速魔法を駆使して、料理運びとテーブルの片付けをしている。
妖精ミネアと人魚ナディアの噂を聞きつけてか、店の前には途切れる事の無い行列が出来ている。
ザップハウスの掃除とかしてた2人をすぐに呼んだけど、それでも手が回らない。魔法、スキルを駆使して、僕らは店を営業していく。けど、決してスマイルは忘れずに。
1つ気が付いた事がある。僕の身体能力が飛躍的に上がり始めている。加速魔法を使っているルルさんと遜色なくなってきている。スキルを意識出来るようになったおかげで、多分金色のパンツのスキルも使えるようになったからだと思う。パンツ恐るべし。
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「はぁー、やっと休憩……」
アンジュさんが机に突っ伏している。みんなくたくただ。それに神官戦士のミカさんが回復魔法をかけていく。
「疲れたわ。けど、楽しかったわ」
少し元気になったルルさんが微笑む。
「お店もいいものね」
デルさんも笑顔だ。
「落ち着いたら、みんなでお店出すのもいいかもね」
神官戦士のミカさんの言葉にみんな頷く。
「けど、この平和を守るためには、戦わないとな。東方諸国連合は今魔物にかき回されてて、それを帝国が狙ってるらしい。詳しい事を調べてみないとね」
アンジュさんが拳を握る。
多分、僕達が原因で、世界は少しづつ混沌へと向かってるのかもしれない。大きな事は解らないけど、ザップ達を助ける事はそれを良い方向に持って行ける気がする。
僕は弱い。まだまだ強くならないと。
いままでがずっと続いていくと思ってたけど、それを守るためには勝ち取っていくしかないのかもしれない。
「大丈夫、みんながついているから」
妖精が僕の顔をのぞき込む。思い詰めた顔してたのだろう。
「ありがとう」
僕は妖精に微笑む。まずはやれる事をやっていくだけだ。
「みんな、夜もよろしく!」
僕達は夜に向けて、食事をとり英気を養い、準備に取りかかった。
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そして、夜も大盛況で、全てを売り切って、みんなで食卓を囲む事になった。
「これは、チーム分けられないんじゃないの」
アンジュさんが机にへばりついて口を開く。ほぼ瀕死だ。
「あたし達が不慣れって言うのもあるから、多分3人は抜けれると思う。ラパンちゃんと誰が修行に行くかよね」
ルルさんは大きな胸をテーブルにのっけたまま僕達を見渡した。