初代と三代目 1
10/24に書籍発売予定です。なんと『片〇舎のおっさん、剣〇になる』のイラストを描かれてた先生が、私の作品のイラストを描かれてます。『最強の荷物持ち』で検索していただけたら、表紙が見られますので、ぜひ見てみてください。まじ痺れます!
「お前がザップか?」
ガラス細工を打ち鳴らしたような涼やかな声。玲瓏玉の毎し。昔の人が涼やかな美しさを宝石に例えたことに凄く共感できる。
押し寄せてきてた群衆が消え、一人の女の子が歩いてくる。
「ああ、そうだが、お前は誰だ?」
僕はその女の子を観察する。フリフリな黒地に所々白いレースで装飾されてる服。確かゴスロリって言うんだよな。ラパンと同化してた時のメイド服と似たとこがあるが、あれより派手だ。黒い艶々な髪は肩口くらいで、色白で目が大きく、何より特筆すべきは胸がデカい。なのにウエストはキュッとくびれている。僕の知り合いの魔法使いのルルには及ばない大きさだけど、ルルはあそこまで痩せてはいない。ぽっちゃりではないけどもっと肉がついてる。スタイル、顔、思いつく言葉は奇跡。奇跡の美少女がこちらに向かって歩いてきてる。
けど、なんか会った事があるような気がするんだよな。そんな美少女なのに、なんていうか、ドキドキもなんもない。まるで、久しぶりに親戚の女の子にでも会ったような感じだ。思い出すけど記憶に無い。もしかして、街に貼ってあるポスターとかで見た事があるとか?
「僕の名前はカナン」
ん、コイツも僕っ娘なのか? そう、ラパンにも似てるって言えば似てる。
カナンなんて名前知らねーぞ? アイドルや役者? いや聞いた事ない。
けど、こんなとこに現れるって事は、もしかしてこいつが因縁の『言霊使い』? いや、それならもう言葉責めしてきてるはずだ。もしかしたら僕を油断させようと? けどなんの意味がある? 答えがでねーな。
「うわ、本当、間抜けそうな顔してんなー」
美少女が毒を吐く。そりゃ間抜け顔にもなるよ。思い出したくても思い出せない。考えはグルグル回るし。
「ザップ、僕はお前の半身だよ」
ん、半身? 何言ってんだ? これってもしかして、逆ナン? しかも半身なんて言ってるから、『結婚もしてもらうわよ!』的な重めのやつか? 出会っていきなり結婚をせがむってどういう神経してんだ。
「何言ってやがる。半身? お断りだ。会っていきなりそれはないだろ」
「お前、なんか自意識過剰な勘違いしてないか? だから、僕はお前と一緒なんだって。ほら、感じるだろ。なんて言うか、離れてた家族と会ったような親近感を」
『一緒なんだって』って、『離れてた家族』? 確かに親近感を感じるがなんて強引なナンパだよ。
「だから、言ってるじゃねーか。悪いがうちではもうこれ以上人を受け入れる余裕はない」
「ザップ、それは誰?」
マイが絨毯に乗って隣にくる。ヤバい。また美少女を拾ったって怒られる!
「あ、ザップ、あれザップじゃん」
ん、マイが訳わからんこと言ってる。
「えー、もしかして本人がわかんないの? ほら、あの娘、そう『三代目』。『三代目』よ!」
ええっ、まじか! ってことは僕の首から下から生えた僕? なんで女の子?
あ! もしかして記憶の彼方に封印したスキル、TSスキルを奴は持ってるのか? 僕が変身したザパンはムキムキなのに、三代目が変身したらああなるのか? なんか不条理を感じる。
「カナーン」
「カナンちゅわーーん」
街の奥から数人駆けてくる。その中に変態のプロ、パムがいる。それより街の人たちは?
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