ドラゴンドラゴン
先に放り投げたカプが着弾する。公園っぽいとこに投げたから問題ないだろう。襲撃告知もしてるしね。爆発したかのように膨れ上がり現れる竜。赤銅色の体躯に針鼠みたいに棘に覆われた体。マイナーで知ってる人が居ない古竜カプルソーだ。
その丁度真上にアンが放物線をえがいた後に落ちてくる。いつもはノーコンな僕なのにこんな時だけ謎精度を発揮する。そしてカプルソーの上で弾け、なじみ深い、これぞドラゴンって姿の古竜アンが発生した。どうでもいいけど、アイの本名って何度きいても忘れる。アンだからいいじゃんって思ってて、覚えるつもりは無い。確かアメンボのような名前だったはず。カプの上に綺麗にアンが乗っている。マウンティングってやつか? カプが暴れてるけど、上手にアンが乗りこなしてる。カプが自分も横転する事で、なんとかアンから離れた。立ち上がって両手を広げ威嚇しあう竜。
「ぎゃおおおおおおおーーーーん」
「ぐぅおおおおおおおおーーん」
やば、かなりの威圧効果があるボイスだ。こりゃ慣れてないときついな。多分かなりのお馬鹿さん以外逃げてしまってるとは思うんだけど、残ってる人が居たら恐怖に竦んでる事だろう。
まあ、その発生源のドラゴンたちは、間抜けに二足立ちで腕を広げて威嚇しあってるんだが。手が二頭とも短いから、なんか見た目、あれだあれ。プレーリードッグやマーモットが立ち上がってるみたいだ。そして、二頭は手を付いたと思ったら強烈に頭からぶつかり組み合った。ここでも相撲かよ。エルフと言い、古竜といい、古い種族は相撲大好きだよな。まあ、人間界でもおとぎ話ではよく相撲してるしな。
「もう、あの娘たち、何やってんのよ」
あ、やべ。少しマイが不機嫌だ。絨毯は低空飛行でドラゴンたちの上を旋回する。
「あんたたち。巫山戯てたら夕飯抜きよ!」
マイの言葉にアンの体がビクッと跳ねたと思ったら、カプが勢いよい良く地面に叩きつけられた。見事な上手投げだ。さすがデル先生の下で相撲を学んだだけある。カプって物理反射とかイキってたけど、投げには弱いんだな。アンより弱いって事は、実際見た目と権能だけで、かなり弱いんじゃないか?
「お前たち、でっかい建物をぶっ壊せ!」
僕は手をメガホンにして叫ぶ。
二頭の竜はじゃれ合うのを止め、僕の言葉に従い大きな建物を破壊し始めた。ここに住むのは悪党。悪党はレベルが高い程金持ち。金持ちイコールデカい家という杜撰な三段論法だ。
「ブレスは禁止だーっ!」
回りは魔の森だとは言え、山火事は御法度だ。それに、目的は暴れて忍者たちをおびき出すこと。さすがに自分たちの街をいいようにやられたら、何とかしようと出てくる事だろう。
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