突撃
もうすぐドバン。森に入って、その森を切り裂くように走ってる街道を眼下にしばらく進んだ。高さが不揃いな樹冠が森に人の手が入って無い事を物語ってる。かなりの高さの木もあり、その樹齢は数百年はいってるんじゃないだろうか? これから僕がする事を少し躊躇ってしまう。
ドバンには城壁はない。人が入る事を拒む太古から続く自然の要害、迷いの森とも嘆きの森とも言われている猛獣や魔物が跋扈する薄暗い森がその役割を果たしている。その森の中に足を踏み入れたら中堅くらいの冒険者だと一日も無事に過ごせないと言う。
ドバンはそんな危険な森を突っ切る魔法の道の途中に自然発生的に出来た街だ。世界的に指名手配されてる凶悪犯、戦争で国を失った者などが行く所が無く集まって出来たと言う。街には正義は無く、ただ暴力だけが存在している。正式には諸国連合では街とは認められてはいない。聖教国の地図にはその存在すらも載ってないと言う。
ドバンの『言霊使い』を攻めるにあたって、ドバンの街の存在は厄介極まりない。あっちは好きな所に隠れる事は出来るけど、こっちは街の地理すらろくに知らない状態だ。
最初は途中で森の中にでも降りて、忍者に気付かれないように街に潜り込もうかと思ったけど、相手は隠密に長けた者。僕らがどんなに上手く隠れたとしてもバレそうだ。しかも、バシバシ奇襲されそうだ。だからシンプルに考える事にした。
暴力で支配されている。という事は暴力で解決すればいいじゃん。
国として認められてはいない。じゃ無くなっても誰も困らないよね。
僕は魔道都市アウフの評議員の一員で、色々と国の偉い人にコネがある、導師ジブルに一つのお願いをした。この文章をドバンにばら撒いてくれと。
『今から、ドバンを襲撃します。死にたくない人は、さっさと逃げてね
最強の荷物持ち猿人間魔王ザップ・グッドフェロー』
まあ、前に変態貴族の屋敷を更地にしたのはドバンの奴らも覚えてるだろう。コソコソするのは性に合わない。四の五の考えるのは面倒くさい。シンプルイズベスト!
眼下にドバンの街並みが見えてきた。ゴテゴテした統一感が無い街並みだ。一回更地にしたらもっといい街になるだろう。
「アイ、カプ、好きなだけ暴れてこい!」
「え、いいんですか。本気になっちゃいますよ」
「アイローンボーの本気なんか大した事ないわ。最強の古竜の力、今……」
口上が長いので、まずはカプから首根っこ掴んでぶん投げてやった。
「ざまあみろです。ザコリュウ」
「お前も行くんだよ」
「えっ、ご主人様もっとレディには優しくしてくださいよーーーーーー」
言葉途中で、アンもカプ同様ぶん投げてやった。気分爽快だ。もしかして僕、ストレスたまってたのか?
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