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 海のシルメイス2025


「はぁあああああぁ」


「なんだお前はっ!」


 おお、びっくりした。まじで飛び上がってしまった。


 仕事を終えて帰ってリビングのソファに身を横たえると、部屋の隅から弱々しい声が。

 タライの中に三角座りで座ってる生き物? 銀色の髪はだらりと前に垂れその目を隠している。なんか前にみたいな時より髪の毛がパサついてるような。

 一目見て誰かは分かる。


 シルメイス。


 海の女王にして、伝説の古竜の内の一人。


「何してんだ?」


「力が足りなくて、私の分体は海水に浸ってないと動けないのです。親切な金色のビキニの美少女が私をここまで運んで来てくれました。私が何を言いたいのか分かってますよね」


 分かんねーよ。弱ってるなら自分の巣で大人しくしとけばいいじゃん。金色のビキニ。リナか。余計な事しやがって。けど、心当たりはある。


「いやー、悪かったと思うよ。けど、今年は暑すぎだろ。やっぱ海はちょっとな」


 そう、今年はコイツの住み家である臨海都市シートルには行ってない。今年の夏は高原の湖で涼しく楽しくキャンプした。まあ、夏の頭にポーターズビーチには行ったけど。そう言えばその時、いつもはシルメイスが海上を走ってやって来るんだけどなーとか思ったな。そうか、弱ってたのか。出来ればこのまま消滅してくれないだろうか?


「酷いわ。私とあなたの仲ってそんなものなの?」


 仲もなんも、何回殺されかけた事か。もしかして、始末して欲しいのか?


「どうしたの? ザップ? あ、シルメイス」


 マイが包丁片手にやって来た。暑いから露出度が高い。ショートパンツに最近流行りのヘソ出しシャツの上からエプロン。少し目のやり場に困る。最近おへそ出してる女の子が多いけど、おへそってガン見するのはセクハラなのか否か? やっぱセクハラなんだろなー。


「ゲッ、魚臭いと思ったらシルメイス!」


 次はアンが部屋に入ってくる。珍しいな。最近はほとんど自室で裸で氷に抱き着いて過ごしてるのに。偉い事に今日はちゃんと服着てる。とは言っても見えるだけで実体が無い服だと思うが。


「アイローンボー。少し力を分けてくれませんか? 今の状態ではこのタライから動けないのです」


「嫌だよ。バーカ。タライから出してやる。昔の恨み、ここで晴らす!」


「アン、止めとけよ。これ、分体だろ。後で仕返しされるぞ」


「そうですね。ご主人様。干物にしてやるより、弱ったのを見てる方がご飯が捗りそうですね。それで、お前、何しに来たんだ?」


「だから、さっきから言ってるじゃない。海、海はいいわよー。まだ今年は温かいからみんなで遊びに行きましょう。スイカ、沢山用意してますから」


「スイカ……」


「おい、アン、スイカごときで釣られるな。スイカくらい好きなだけ買ってやる」


「もしかして、ザップさん、シートルに行きたくないんですか? 行きたくないならちゃんとした理由を教えてください」


 シルメイスが髪をかき上げ目線を併せてくる。


「そうね、あたしも知りたいわ。毎年、海、海ってうるさいのに、今年はちょっと行っただけだし」


「えっ、ザップさん、行ったんですね、海。ではなんで家には来てくれないんですか?」


 僕は泳ぎは苦手だ。けど、海は好きだ。今年は暑い。暑すぎで海水浴場に人が多く無い。多分それで、観光客から少しづつエネルギーを巻き上げてるシルメイスは弱ってるんだろう。特にいつもはうじゃうじゃいる刺激的な水着のお姉さんが少ない。楽しさ半減ってやつだ。けど、そんなの口にしたら、僕の今まで積み上げて来たイメージが崩れ去る。


「行かないとは言ってないじゃないか。スイカいっぱい食べさせろよ」


 まあ、まだ夏は続きそうだし、みんな誘って海を楽しむ事にしよう。



 読んでいただきありがとうございます。


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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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