反撃の狼煙
「マイとアンよ……」
重い静寂を破ったのは、妖精ミネアだった。
それから、僕に語ったのと同じ内容、東方諸国連合に向かってからの話をした。みんな、一言も口を開かず妖精ミネアの淡々とした話を聴いた。
話が終わって、また、静寂が辺りを支配する。また誰も口を開けない。何を言えばいいのか解らない。けど、僕は僕のやりたい事をみんなに話す事にした。
「僕がザップなのかは解らないけど、ザップ、マイさんアンさん、それとラファさんを助けたい。あと、個人的な理由だけど、僕を助けてくれたマリアさんに恩返しもしたい。良かったらここにいるみんなに力を貸して欲しい。僕は無力だから。1人では何も出来ないから」
僕はゆっくりとみんなの顔を見渡す。
「私はラパンに協力する。ザップ兄様がいなかったら我々は今ここにいないからな。恩返しさせてもらう」
アンジュさんが手を握り立ち上がる。
「私も当然協力するわ!」
神官戦士さんも立ち上がる。
「私も戦う」
デルさんも涙を拭って立ち上がる。
「じゃ、一時、ここを拠点にしないとね」
ルルさんも立ち上がる。
「ザップとは、決着をつけないといかんからな」
リナちゃんも立ち上がる。
「リナ様がそうするなら、今回はうちが手伝ったるわ。残り3人いれば国は大丈夫でしょ」
人魚もタライに立ち上がる。
「あたしはね、最初っからラパンの味方だよ」
妖精が僕に微笑む。
「みんな、ありがとう」
僕も立ち上がる。自然に頬が緩むのを感じる。そして、僕は石像と化した2人を見る。これだけ強力なメンバーが集まれば何でも出来る気がする。失った全てのものを取り戻してみせる!
だけど、今の所、具体的な話は全く進んでない。
「けど、まず、何すればいいかわかんないよ」
僕はみんなをひとりひとり見ていく。ルルさんが頷く。
「まあ、みんな座って。この中で一番の頭脳派は魔道学院主席卒業のあたしだと思うから、仕切らせてもらうわ」
僕達はまた席につく。それを見計らって、ルルさんが口を開く。
「まずは、いままでの話を聞くところ、そのアカエルには私達は勝てない。相性が悪すぎる。アン様は強力な魔法耐性を持ってたのにもかかわらず、1発で石化したって話だし、マイ姉様はあたし達の誰よりも素早いのに魔法が命中してる。多分、あたし達が戦っても石像が増えるだけよ」
「じゃどうするんだ?」
アンジュさんが少し声を荒げる。
「解んないわ、考えていくしかないわ」
ルルさんは手を前に組んで目を瞑る。しばらくして、口を開いた。
「チームを分けましょう。まずは、ラパンちゃん修行チーム。ある程度強くなって貰わないと、アカエルって奴の所にも行けないしね。次は魔法対策と東方諸国連合の情報収集チーム。アカエルへの魔法対策と、今何が起こってるのかの把握。あと、敵の情報をもっと集めないとね。最後はレストラン手伝いチームここを拠点に情報の整理をしないとね」
僕達はそれからしばらく話し合ったけど、編成がうまく決まらず、まずはとりあえず今は皆でお店の手伝いをする事にした。その間に考えもまとまるだろう。