2月な話
「今日は休むが、明日はしっかり稼ぐ」
僕は宣言する。そしてソファに座り込む。リビングにはマイとジブルが居る。ドラゴン娘は今日も炬燵だ。
今日は寒いしなんか雪など降ってるから外に出たくない。こういう風に言っとかないと、マイが予定を立てられない。マイは僕と一緒に働く事もあれば、たまには別々もある。けど、僕が家に居る時には必ず家に居る。
あー、けど、今月は2月。日にちが少ないからしっかり稼がないと貧乏になっちまう。冒険者にとって2月は最悪だ。日数が少ないだけじゃなく、まだ寒いから魔物が動きにくいから討伐依頼も少なく、あったとしても雪山とか森林の奥地とか命がけの割にはバックが少ないものが多い。だから迷宮に突っ込む者が多く、有名どこの迷宮の浅層なんかどこもかしこも芋洗い状態だ。
なんで、2月って日数少ないんだろう。不便だろ。
「おい、ジブル、なんで2月は少ねーんだよ」
「何よ唐突に。少ないから少ないのよ。文句あるなら、自分で勝手に29日とか30日とか作ればいいのよ」
読書を中断されたからか、ジブルは不機嫌だ。コイツは金に余裕があるから自由に生きてやがる。寒いから今日は学校は休校らしい。魔道学院、自由すぎだろ。
「ねぇ、ジブル、あたしも何でか知りたいわ」
マイが会話に加わってくる。ジブルはマイが言う事は素直に聞く。
「んー、確かね、今の暦は昔出来たものだけど、昔昔は2月が最後の月だったそうよ。だから少ないそうよ」
なんか分かったような納得出来ないような。
「なんで、最後だったんだ? 今は二番目の月なのに?」
「そりゃ暦だからよ。そもそも暦って何のためにあったのか知ってる?」
暦が何のため?
「それは、今日が何時か知るためだろ」
「何で、今日が何時か知らなきゃいけないの?」
「んー、なんでだろ」
「農耕のためよ。冬は作物が育たないから、春に畑を耕して、暦で決まった月に種をまいて、そして収穫する。それに、この時期はこの木の実がなる。あのキノコが育つ。あの魚が海にやって来る。元々暦は農耕狩猟牧畜のためにあったものなのよ。だから春が始まりだったのよ」
「じゃ、なんで今は冬からなんだ?」
「たしかこう言われてるわ。暦の始まった頃は、農作業とかを始める春の時期が月の始まりで、10月までしかなく、冬は月が無かったそうよ。けど、不便だから新らしく二つ月を加わえて、その名前を付けたんだけど、月の名前に使われた『ヤヌス』って神が1年の始まりに相応しいということで、現在の1月が年初になったそうよ」
「なんか、訳わからなんな。たいした意味は無いって事か」
「多分、ノリと流れでそうなったんだと思うわ。そういうものって意外に身の回りに多いでしょ。まあ、けど、もし今から春から1月にします。2月も30日にしますって変えたとしても不便でしょ。誕生日が変わるし」
「まあ、そうだな。諦めて今月は頑張るしか無いか」
「そうよ。最近あんまり稼いでないからしっかり働きましょ」
とか言いながらも、マイはみんなにコーヒーを出す。今日は休んでいいみたいだ。明日から精を出す事にしよう。
という訳で、2月は少ないので、頑張って稼ぎます。おかげで更新頻度が減ってます(T_T)
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