骨身に染みる 9
「カタカタカタッ」
僕の目の前に現れた金色の魔方陣。収納スキルから派生したもの。収納ポータルを2つ発生させ、それからそれぞれ剣を射出する。勢い良く飛び出したそれらをゴブリン如きがかわせる訳もなく、ゴブリンたちは串刺しにされて吹っ飛んでいく。ちなみに、僕は技の名前『剣の王』と叫んだんだが、言葉にならなかった。締まんないな。
『おーい、助けてくれー』
骨ポルトの情けない声がする。僕はそちらに向かう。ポルトは両足の骨が折れてて立ち上がれない。
『んー、30分ね』
ジブルがポルトを覗き込んでる。30分?
『あー、やっぱりザップが喋れないとつまんないわね。多分、分かって無いから説明するわよ。あんたたちは再生機能持ちのスケルトン。粉々に砕いてばら撒いても、時間が経てば集まって再生するわ。あと、30分で、王様も元通りになると思うわ。あ、再生中に時間切れになったらどうなるのか? って思ったでしょ。そんな凡ミスはしないわ。再生中は時間のカウントされないようにしてるから、再生し終わってから、また継続時間が減ってく仕様よ』
んー、素晴らしい説明だ。僕が知りたかった事に的確に答えてくれた。こんなに思慮深く賢いのに、なんでジブルは残念な生き物なのだろうか? 多分それはわがままだからだろう。人の気持ちは分かるのに、人の事を気にしないんだろう。そうじゃなきゃ、王都の雑踏の中をスケルトンスタイルで闊歩出来ないだろう。
『ねぇ、ザップ、収納使わないって言って無かった?』
そう言えば変身する前に、そんな事言ってた気もする。けど、面倒くなってきたからな。んー、喋れないのがもどかしい。
『まあ、ザップはその積もりだったんだろう』
ポルトは上体を起こして足を伸ばして、それにジブルが折れた足をくっつけている。
『思ったより、難易度が高いな。スケルトンって弱すぎだろ』
スケルトンが弱いんじゃなくて、お前が弱いんだと言いたいけど言葉使えないもんな。
『けど、なんでも使いようだな。この薬、騎士団とかに持たせたらヤバくなった時に死んだふりで逃げられるな。それに、歩哨の兵とかに飲ませてたら疲れないから、楽に業務をこなせるかもな。力がなくても緊急時には警報くらい鳴らせるからな』
『それは、止めといたがいいわよ。確かにスケルトンは疲れないし、寒暖差も感じないわ。けど、私も魔道都市で提案したんだけど、街の城門とかに配備するのは満場一致で却下されたわ。イメージが悪いんだって。私は、魔道都市って言うくらいだから、別にスケルトンが城門守ってても違和感ないって思うんだけど』
いや、違和感有り過ぎだろ。絶対に城門にスケルトンとかが居たら、通行人減るだろ。
『そうだな。城門にスケルトン。イメージ悪いな』
まあ、ポルトも王様。少しは常識有るか。
『まあ、俺的には出来れば目立つ所の衛兵はビキニアーマーの綺麗なねーちゃんにしたいとこだからな。そしたら、もっと国が華やかになるからな』
前言撤回だ。そんな事したら、王国の品位がた落ちだろう。革命起こるぞ。
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