骨身に染みる 6
『お前、骨になったら良く分かるな。足、短いな』
骨王が僕の全身をくまなく眺めて言い放つ。全く失礼な奴だ。けど、何か言い返してやりたいけど、口を動かしてもカタカタ言うだけだ。
『何? 何言ってんだ聞こえないぞ?』
『多分、何か抗議してるのよ』
ジブルも舐めるかのように僕を見てる。なんか失礼だな。
『けど、本当、骨になってもこんなにすぐに誰かって分かる人居ないわよ。足短いし、手長いし、異様に骨が太いし。太古の昔の原人って言う、人間の祖先はこんな骨格してるわ。もしかして、ザップって原人?』
そんなん知るか! って言うが、口がカクカク言うだけだ。こうなったら実力行使だ。僕はジブルの頭を叩いてやろうと動くが、軽くかわされる。遅い、動きが遅すぎる。なんか夢を見てるかのようだ。
なんだかんだでポルトに押しきられて僕は薬を飲んでしまった。持続時間はジブルが調節して今日の夜まで。ちなみにポルトもそれくらいに戻るそうだ。僕らはカフェを後にして公園で薬を飲んだ。骨になったら服がダボダボだったから収納に入れて全裸だ。ポルトやジブルが言ってた通り、全く寒くない。て言うか、触覚がめっちゃ鈍い。自分の体に触ってみるが、なんか手袋をして厚着しまくってるかのような感じだ。まあ、確かにポルトが言ってた通りの開放感はある。それに骨だし恥ずかしくも無い。
そして、今、僕はポルトとジブルにからかわれている。
『けど、不便だな。ザップ、話せないのかよ』
『ザップは魔法の適正が低いからしょうが無いわ』
『リアクション無いから、何言っても面白くないな』
『まあ、こっちが言う事は聞こえているから、首振ることくらい出来るでしょ』
『ザップ、イエスだったら縦、ノーだったら横に首振れよ。まあ、分かってると思うが、一応確認だ。じゃ、行くぞ』
ん、どこに行くんだ? ポルトが歩き始める。
『ザップ、今から冒険者ギルドに行くぞ。せっかくだから、討伐に行くぞ。大ネズミがいいかな。スライム。ゴブリン。なんかワクワクするな』
そっか。コイツはいつも城の中で護衛に囲まれてるもんな。最初会った時も冒険者もどきやってたし、冒険者に憧れがあるのかもな。まあ、僕もこの体で戦ってみたいしつき合ってやるか。
僕らは冒険者ギルドに向かう。
「へぇ。スケルトンさん、名前はポルトって言うんですね。王様の愛称と一緒ですね」
カウンターに座ってるギルドの受け付けのねーちゃんからポルトは認証票を貰って喜んでる。なんかジブルがギルドの偉い人に上手く言って、すぐにポルトの登録は終わった。
『ああ、そうだ。俺は王だからな』
おいおい、ポルト、せっかくジブルが誤魔化してくれてるのが台無しだろ
「何いってるのですか? 面白いスケルトンさんですね。王様は人間ですよ」
まあ、普通そう思うわな。けど、これが本物の王様って知ったらこのねーちゃんはどう思うんだろう?
『まあ、そんな事より、こんど一緒に飯でも食いに行かねーか? 美味しい肉料理の店見つけたんだけど、1人で行くのもつまんないからな』
「んー、ご飯ですか? 何言ってるのですか。スケルトンさんはご飯食べられてないじゃないですか。レストラン入れてくれないですよ」
『そうだな。スケルトンは飯食えないんだった……』
ポルトは項垂れる。ほらほらスケルトン、良いことないよ。まあ、ポルトが人間だったとしても、そのねーちゃんにはスカされるよ。パムがいってるのですかたけど、誰も彼女を飯に誘うのを成功した人は居ないらしいからな。
『くぅー。この格好なら堂々と女の子とデート出来ると思ったのに。意外に不便だな』
うな垂れてポルトってが戻ってくる。スケルトンでデートしたら顔バレはしないと思いけど、メンタル鋼の女の子じゃないとデート出来ないと思うぞ。そんな鋼メンタルの女の子ってどうかと思う。
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