骨身に染みる 4
『なかなか骨も悪くないもんだぞ』
骨王が何か言ってる。骨ポルトは優雅に椅子を引いて座る。さすが王様、エレガントだ。骨のくせに。
僕はまた店員さんにチップ掴ませて、悪いスケルトンじゃないと説明してコーヒーを頼む。面倒くせー。
「悪くないもなんも、お前コーヒーも飲めないだろ。カフェに何しに来やがったんだよ。暇なのか?」
んー、1人でコーヒー三杯も飲むのか。トイレ近くなるぞ。
『ザップ、お前もスケルトンになってみろよ。絶対に満足するぞ』
大振りのジェスチャー付きで喋る。少しでも女性がそばに居ると気取る。コイツのヤなとこだ。
「おいおい、どうして、俺が満足すると思うんだ?」
スケルトン化して何かメリットあるのか想像もつかない。むしろデメリットしか思いつかない。
『ザップ、俺をよーく見てみろ』
ん、よく見てみる。スケルトンだ。骨だ。骸骨だ。強いて言えば骨太だな。特に腕と足と背骨が太い。あんまり気にして無かったけど、骨も性別で変わるのかな? けど、ポルトは何を言いたいんだ?
『ザップ、鈍いな。説明してやろう。俺は服を着ていない』
うん、そうだな。スケルトンなんで何とも思わなかった。
『気付かないって顔だな。スケルトンだと全裸でも犯罪者っぽく無いんだよ。お前、その格好で脱いだら犯罪者だけど、スケルトンになったら好きなだけ脱げるぞ』
「おい、お前、変な事言うな! 俺は好きで脱いでるんじゃない。俺が戦うのに持ちこたえられる服が無いだけだ」
『そりゃ変だろ。マイちゃんが嘆いてたぜ。ザップがすぐ服脱ぐって。マイちゃんみたいに、お前の収納使って早着替えすればいいだろ。お前は気付いて無いかもしれないが、好きなんだよ』
確かに、マイは収納を使って服が脱げてもすぐに換装できる。けど、僕は動いて無い時なら数回に1回は成功するけど、動いてたらダメだ。不器用だからな。
もしかして、僕は無意識に脱ぎたがってるのか?
いや、それは無い。出来る限り服は着たい。暖かいもんな。
まあ、マイがそう言ってるのなら、服の換装の練習してみるか。なんか面倒くさいけど。
「だから、野外露出には興味ねーよ。お前の方がそのけがあんじゃないか? まあ、いつも城でゴテゴテしたの着てるもんな。分からなくも無い。けど、お前ら同じ骨なのによく見ると違うな、何が違うか正確には分からんが」
話を強引にそらす。このままだと、僕まで気が済むまで露出するために、骨にならにゃあかんくなりそうだ。
『えっ、もしかして、ザップ、骨を見て性別分かんないの?』
ジブルが意外そうな声を出す。
「分かるか。そんなもん。骨は骨だろ性別なんか見てわかんねーよ」
『はぁ、まだまだね。ザップ。どんだけ私と一緒に居たのよ。まあ、骨盤見たら一発で分かるけど、恥ずかしいから、私の鎖骨見て』
ジブルは両手の人差し指でローブを下げて鎖骨を露わにする。これが普通の女性ならドキッとするかもしれないが、相手は骨だ。なんとも思わない。それよりか、さっき恥じらってたのにイラッとした。
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