骨身に染みる 3
「スケルトンポーション? なんだそりゃ、スケルトンに変身するのか? そんなの役に立つのか?」
僕はジブルに尋ねる。なんか嫌な予感がする。コイツは何をやるか分からない。その薬を井戸とかに放り込んだりして、王都の人々がみんなスケルトンになったりとか、そういう事をしかねない。
『役に立つ? それは使う人次第でしょ。毒でも少量では薬になったりするでしょ』
何言ってるんだ? 人をスケルトンにする薬。それは間違い無く毒薬。毒でも少量で薬になるものもあれば、少量でも人を死に至らしめるものもある。これは後者だろう。例えば少量だと、頭とか手とか一部だけスケルトンになったりとか、スケルトンの前段階、ゾンビになったりとかするんじゃないか?
「悪いが、その毒薬が有効活用出来るとは思わないな」
『それは、今からゆっくり、解説と説明してあげるわ』
むむっ。ちょっと聞いてみたい気もするけど、ジブルの話は長い。ここで立ったまま、小っこいアンデッドのリッチっぽい奴と話してたら不審者っぽいな。
「その前に立ち話はなんだから、そこに座ろうぜ」
また僕はカフェに戻る。そして、コーヒーを二杯頼む。ジブルは飲めないけど、店に入って何も頼まないのはちょっと。それと、店員さんにチップを掴ませて、一応ジブルは邪悪な魔物じゃない事を伝えておく。けど、まあ、王都にはれりというどこでもかしこでもアンデッド呼ぶ奴が居るから、都民自体にアンデッドに対する耐性はあるとは思うが。念のため。
そしてジブルが話しだす。
『この薬は人間をスケルトンに変えるものだけど、時間が経つと戻る事が出来るわ。濃度で時間の調整が出来て、10分から1年の間で調整出来るの』
10分から1年、かなりの時間変身出来るんだな。
「じゃ、間違えて濃いの飲んじまったら1年スケルトンになるって事か?」
『ええ、そうよ。けど、解毒薬もあるから、途中で戻る事も出来るわ』
ん、今、解毒薬って言ったよな? 毒って自覚あるじゃねーか。
「で、それをどう使うんだ? ポルトに
売れたのか?」
『んーん。王様はしばらく考えるって言ってたわ。という訳で、ザップ、飲んでみて。王様にも渡したから、今頃はスケルトンライフを楽しんでるはずよ』
まじか、ポルトにサンプル渡したのか。アイツは好奇心旺盛だから飲んでるかもな。って一応王様だから他の人に毒味させてるはずだよな。
『ご一緒してもいいかな』
ん、振り返るとスケルトン。この声はもしかして……
「お前、ポルトか? もしかしてジブルの毒薬飲んだのか?」
『ああ、部下たちを振り切るのは大変だったけどな。お忍びのついでだ』
まじか。バカなのかコイツ。けど、ジブルが得意な風で声出す魔法までこのために覚えたのか? コイツが王様でこの国大丈夫か?
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