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 森人の国 30


「お前はそれでいいのか?」


 僕は土俵上で、戦意揚々なデルに言う。


「いいのかって?」


 デルがきょとんとして答える。多分、自分の発見に満足してこれからの事はなんも考えて無かったんだろう。


「お前、相撲ってまわしを掴んで戦うだろ。まず、それは取れないのか? それにその位置のまわしを皇帝が掴んだら、それってハグだろ。ハグ」


 考えてみよう。胸のとこにまわしを巻いている。それを相手が掴む。もう抱き合ってるようにしか見えない。とは言っても、腰にあるまわしを掴み合う時点で、密着度はあんまり変わらないとは思うんだが。


「え、やだそれ。まわしは湿らせてしっかり閉めてるから取れないとは思うけど」


「そうだな。フラットチェストだから締め易そうだしな」


 皇帝がエルフテンプレのツッコミをする。西方語で言う事でオブラートに包んでるつもりかも知れないが、言ってる事は一緒だ。エルフ女性に貧乳は禁句だ。まあ、エルフ自体が貧乳なんじゃ無く、ただ単にエルフに肥満は少ないから胸が大っきい人は少ないんだと思う。それにエルフってあんまり子供を作らないから妊婦さんが少ないのも要員だと思う。子供出来たら胸が大っきくなるらしいからな。


「けど、やだ。皇帝と抱き合うのは。なんか臭そうだし」


 フラットチェストはスルーだ。多分意味が通じて無いんだろう。


「臭くないわ。皇帝だからな。風呂はあんまり入らんが、変わりに香水バリバリつけとるわ」


 うわ、それは僕もやだ。西方ってあんまり雨が降らないからカラッとしてるからそういう人も居るが、帝国人は温泉や風呂が大好きだ。ただ単に皇帝が風呂嫌いなんだろう。


「なんだ、お前ら、その汚いものを見るような目は。違うぞ、俺は風呂は大好きだ。ただ単に時間が無いんだよ。今回ここに来るためにどれだけ仕事を前倒しに終わらせて来たかお前らには分からんだろ」


「じゃ、相撲とってる暇あったら、風呂入ってこい。ここ温泉あるぞ」


「おいおい、それは順番が逆だろ。相撲で汗をかいてから風呂に入る」


 あんなにノリノリで土俵に上がって来たデルが悄然として降りる。そして皇帝に振り返る。


「ごめんなさい。やっぱり無理です。私たちエルフが苦手なものには香水があります。天然じゃない臭いには弱いんです。腐乱死体やトイレの臭いならどれだけでも大丈夫なんですが、香水はダメです」


「そうか、それは気が効かなかったな。よもやエルフが柑橘系の匂いより、ゴミ置き場や便所の臭いの方が好きだとわな」


「そんな事言っとらんわ。エルフは綺麗好き。お風呂に入らない限り誰もエルフはあなたとは相撲は取らないわ。良かったわね。不戦勝よ。けど、私たちは貴方に負けた訳じゃ無いわ。皇帝の臭さに負けたのよ。この事は近隣諸国に言いふらすわ」


「待ってくれ。それじゃ、俺がメッチャ汚いみたいじゃないか?」


「みたいじゃないわ。臭いのよ。薬品とレモンを混ぜてそれに腐った玉子を合わせたような臭いがするわ」


 そう言い、会場に微妙な空気を広げてデルは去って行った。何しに来たんだ? 公開露出か?


 読んでいただきありがとうございます。


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