表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2039/2116

 年末SS  門番

 

「うわ、やっぱ賑わってるわねー」


 僕とマイは王都に買い出しにやって来た。いつも通る城壁の歩行者用の通用門は長蛇の列だ。こりゃ通るのにしばらくかかるな。


「マイ、マイは俺に会う前は年末はどうしてたんだ?」 


「そうね。だいたい宿でゆっくりしてたわ」


「そっかー」


 まあ、だいたいみんなそうだ。年末の夜と年始はほとんどの店は閉まってるし、当然冒険者ギルドも普通の依頼は取り扱ってない。魔物の侵攻とかの緊急依頼しかなく、そういうのもそうそう無いからほとんどの冒険者や荷物持ちは休業してる。

 

「で、ザップは何してたの?」


「毎年毎年、城門の歩哨してた」


「歩哨って、門番さん?」


「うん、城壁の門番って24時間ずっと居るだろ。だけど、兵士だって年末年始は休みたいから、その時期だけ高い給料で民間から募集してるんだ。俺の前居たパーティーは年末年始は働かないからその時期はだいたい歩哨してた」


 その手の立っとく系の仕事の相場の倍くらい稼げる。

 

「それって夜?」 


「ああ夜だ」  


 冒険での貰える金額はすずめの涙だったから、僕は休みの日は日雇いや採集に明け暮れていた。草木が枯れて雪が積もる冬は採集は出来ない。だから寒さに耐える仕事ばっかりしていた。暖かい昼は倍率が高いからだいたい夜だ。


「あの時は思ってたよ。なんで自分はこんなに不幸なんだろうって。けど、魔物や盗賊には年末年始は無い。歩哨も大切な仕事だ。街の市民を守るために」


「そうよね。あたしは冬の夜に出歩いた事あんまり無いから知らないけど、あれってめっちゃきついらしいわね」


「きついなんてもんじゃないよ。マメに足を動かして血行を良くしないと、凍傷になって指を切り落としたって話もあるよ。それにやれば分かるけど、氷点下ヤバい。なんか金属製のものがキラキラし始めるんだ。借りてる槍とか胸当てとかが。それってよく見ると凍ってるんだよ。綺麗だけど、寒いってなんてもんじゃない」


「そっかー。それは見てみたいわね」


「ダメだ。ダメだ。マイでも風邪引いちまう。しんどい事をわざわざする必要は無い」


「けど、しんどい事やって来たから、今のザップなんでしょ?」


「そうだな。あの時はしんどかったけど、どうにかしてお金持ちになってこんな生活を抜け出してやるって思ってたもんだ。それがなかったら、迷宮でのたれ死んでただろう」


「そうだよね。ザップってどんな時も諦めないもんね。じゃ、その仕事、まだ募集してるかな? ああいうのって2人で一組なんでしょ」


「おいおい、勘弁してくれよ。あれだけはもう嫌だ。お陰で寒いのが嫌いになっちまった。それに食いもん買ってかないと、アンが拗ねるぞ」


「そうよね。じゃまた今度って事で」


「おいおい、なんでそんなにこだわるんだよ。良いこと無いって」


「ま、しょうが無いわね。ザップだし……」


 何がしょうが無いんだろうか? もしかしてマイは2人っきりで門番したかったんだろうか? ま、それは無いよな。

 街に入ると人でごった返してた。年末って感じだな。今年も無事に過ごせて良かった。




 

 今年も1年ありがとうございました。来年は出版。楽しみです。

 色々あったのと、新作にかまけてて更新は減ってますが、これからもよろしくお願いします。


 読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。


 とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 下から集英社のオフィシャルサイトに移動できます。よろしくお願いします。
最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ