森人の国 25
「昔の話ねー。したかもしれないけど、あたし荷物持ちする前は旅の一座に居たの」
マイが旅してたのは聞いたけど。
「一座って事はなんか芸してたのか?」
マイになんか人前で披露するような特技ってあったかなー。見た事無いな。もしかして、エッチな事させられてたりとか、それで下ネタに対する忌避感が湧いたりしてるのなら、僕はその一座をぶっ潰す。
「ちっちゃいサーカスの一座だったんだけど、あたしは不器用だから何もさせて貰えなかったわ。だから主に炊事洗濯とか会場設営とかしてたわ」
そうなのか。マイの話し方からは懐かしむ感があるから悪い思い出ではないんだろう。じゃ、何で?
「何で止めたんだ?」
「止めた訳じゃないわ」
なんか悲しそうだ。
「あたしが居たのは子供族のサーカスだったの。あたしは捨てられてたらしくて、物事ついた時からそこで暮らしてたわ。けど、大っきくなったから。誰よりも大っきくなっちゃったから。それにあんまり人気ない一座だったからお金も無かったの。その日は王都での講演で、そこそこに稼いでみんな宿に泊まったわ。そして置いてかれたの。数ヶ月分の生活費と後は手紙を置いて……」
そっか、マイは生まれてから一度、サーカスで二度、家族に捨てられたのか。だから出会った当初、よく『置いてかないで』って泣いてたのか。まあ、良くある事だけど、何も言えないな。何を言ってもマイを傷つけるだけのような気がする。けど、それは過去の事。前に進まないと。
「それで、手紙には何て書いてあったんだ?」
「『しあわせになってね』って……」
「そうか……」
しばらく僕は何も言えなかった。けど、勇気を出す。
「今は幸せか?」
「うん」
「そっか。じゃ、そのサーカスの一座には一度はお礼に行かないとな」
まあ、マイの家族のようなもんだ。挨拶しないとな。
「……行けないわ……」
マイにしては暗い声。地雷踏み抜いたのか、もしかして……
「あたしが置いてかれてしばらくして、その一座は盗賊団に襲われたそうなの。そして、みんな殺された……」
不謹慎だけど、合点がいったとこもある。マイはリザードマンを倒すのを凄く嫌がってた割には、外に出てから盗賊とかの悪党には容赦なかった。そういう事か。
「あたしにはここしかないの。故郷も家族も両親と幼なじみない。名前も無い。知ってる? 子供族の言葉では猫はマイーマイーって無くの。あたしが小っこかった時、猫みたいに泣いてたからマイなんだよ」
そうなのか。たまにマイがヤンデレ化するのもしょうが無い気がしてきた。
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