森人の国 5
「あと、大金貨100枚が優勝賞金で、ザップさんが優勝したら、更に100枚私も追加で払います」
デルの言葉にマイの眉がピクンと動く。そして口を開く。
「別に優勝したら、デルと結婚出来るってだけで強制じゃないのよね。断れるのよね?」
「当然です。ですからザップさんに頼んでるんですよ」
「やるわよ。ザップ」
え、急にマイが乗る気になった。ああ、お金か。
「ちょっと待て、優勝の保障は出来ないぞ。優勝出来なかったらただの遊びになっちまうぞ」
ジャララララッ。
デルが収納から大金貨を出してテーブルに積む。
「ここに500枚あります。参加費用です。優勝したら残りも払います」
「オッケー。引き受けるわ。ザップ準備するわよ」
ああ、現金の視覚効果は強い。と言う訳で、僕の意志は関係無く、森人の相撲大会に参加が決まった。
「あと、少しで着きます」
デルが絨毯の高度を落としていく。
移動は導師ジブルが魔道都市から借りてきた魔法の絨毯でする事になった。森の中を行くなら普通の人なら森に入って1週間くらいかかるというので即却下。デルに代金は払わせている。乗ってるのは、僕、デル、マイ、アン、ジブル。デルが操縦してる。ずっとほぼトップスピードで、3時間くらいしかまだ経ってない。
「空からは結界で入れないそうなんですよ」
まあ、そうだよな。空飛ぶ魔物も色々いるから、何らかの手段を講じとかないと、そんな数百年続く村は存在出来ないもんな。
高度を落とすと、目の前にはぶっとい木が沢山見えてくる。おお、エルフの村って感じだ。そして、森の中に降りて、絨毯をしまう。森の中に黄色い石を敷き詰めた道が続いている。デルを先頭に進むと、木で出来た壁が見える。道はその壁に空いてる穴に続いていて、その前に弓をもったエルフが2人立っている。
デルが駆けてって、一言二言話すと、エルフたちはこっちに頭を下げる。僕らも頭を下げて近づく。
「ようこそ。森の奥のエルフの村、デリルルルへ」
歩哨の2人は若い綺麗な女性で、僕らに満面の笑顔でそう言った。
「お邪魔します。よろしくお願いします」
僕は頭を下げる。そして、各々、挨拶して、デルが進む穴に続く。3メートルくらい進むと、広場にでる。
目の前には大きな木が乱立してて、それに窓や扉がついている。木の蔓と木で出来た吊り橋がそれらを繋いでいる。広場の向こうには小川がせせらいでいて、蝶々のような羽がついた妖精が飛んでいる。その景色は一言で言うと幻想的。僕らが心に思い描く、理想的なエルフの村があった。一点を除いては。
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