護衛の護衛 24
「おら、早くしろ。どたまに風穴あけたるぞ!」
スキンヘッドが叫ぶ。即座に僕は頭の後ろに手を組んで立ち上がる。虐げられてた経験による賜物だ。威張れる事じゃないが。もっとも、弓で撃たれた程度では血も出ないんだけど。
ちなみに依頼人の商人は馬車の荷台に隠れさせている。戦闘に巻き込む訳にはいかないし、足手まといだからな。
ヒュン!
「グオッ!」
バーナードが呻く。ギリギリまではたき落とすか迷ったけど、狙いが足なので見逃した。死にはしない。傷みを伴わないと覚えない事もあるだろう。バーナードの足にクロスボウの矢が刺さり、悶える。
「バーナード!」
ゼイリスが声を上げる。
「おおっと、言われた通りにしろよ。今のは外れたが、次は頭に命中するかもな。ガーハッハッハ!」
スキンヘッドが笑う。
「大丈夫だゼイリス。メイたちがいる。言われた通りにしろ」
「チッ」
4人は頭の後ろに手を組み立ち上がる。相手は6人、一射したから、つがえてるクロスボウは4つ。1人1発づつなんとかしたらどうにかなるだろう。狙われて無いのはアイリス。さっきのバーナードの「メイたちがいる」っていう言葉は、メイかアイリスに魔法で何かしろって事だろう。盗賊たちからすると、女がいるんだから抵抗するなって意味に捉えられると思う。けど、バーナード達は気付いて無いだろう。盗賊たちは軍人崩れ。多分、元帝国兵だろう。帝国兵は魔法についても学んでいる。スキンヘッドが手を上げる。
「ダークミスト!」
バシュッ!
アイリスの声と、クロスボウの射出音が重なる。バーナードのもう一つの足と、ゼイリスとメイの足に矢が刺さる。僕には殺意十分で心臓目がけて矢が飛んで来た。矢を掴みへし折り、腹と背中に当てて、貫通してるかのように見せつつ、こういう事もあろうかと思って準備していた豚の血糊をぶちまける。まあ、よく見るとやたら矢が長くなってるんだけど、こういう緊急時だから誰もきづかないだろう。
アイリスが放ったのは闇の魔法。族の馬車を中心にちょうど彼らを覆うかのように闇が広がっている。あの闇の中からは外は見えない。
「がッハッハッハー」
闇の中から声がする。
「嬢ちゃんたちみんな魔法が使えるんだろ。対策はしてるさ。慣れない魔法使いは痛いと魔法使えないんだろ。ほーらほーら、俺たちは闇の中だ。好きなだけ魔法を使ってみなよ。けど、そんな事してたらお仲間がおっちんじまうかもな? こっちにはポーションがあるぞ。しかもハイポーションだ。欲しいなら、その腐れ魔法を解除しろ」
スキンヘッドの楽しそうな声がする。
新作始めました。
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