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第二十話 荷物持ちステーキを楽しむ


 たくさんの「いいね」ありがとうございます。この話の「いいね」が1話で100越えました。5番目です。3023.5.18


「どうやってお肉を焼くかよね」


 マイは顎に手をあてる。耳が軽快に動く。


「斧を火球で焼いて、その上で焼くのはどうか?」

 

「それしか無いわね。ザップ、まずはお肉と脂身を出して」


 マイが良い肉と言ってブロックに分けたものと脂身を出す。


 マイはリュックから折りたたみのまな板を出して肉を薄目で大きく切る。肉を触ってナイフを縦に何回か突き立ててた。

 そして肉に何か白い粉をかけている。丁寧に手で少しもこぼさないように。


「それ、なんだ?」


「塩よ。しかも山で採れた塩をすりつぶしたものよ」


「そうか」


 山でも塩って採れるのだな。初めて聞いた。


 僕は刃が厚い斧を取り出して噴水に立てかける。


「え、それって、あたしの斧?」


「違う、あれより切れないやつだ」


 さすがに、マイの斧と焼き肉用のやつは分ける。この斧は肉厚だけどバランスが悪い。今まで焼き肉用に使ってたやつだ。


 マイを避難させて斧にヘルハウンドの火球をぶつける。一瞬にして斧が温まって白煙が出る。やり過ぎたかと思ったが、噴水には問題無さそうだ。


 マイは鉄のトングで斧に脂身を擦り付けると、肉を斧の上に置く。


 ジューッ!


 美味しそうな匂いの白煙が立ちこめる。マイは肉をすぐに裏返し、しばらくして斧から離す、そして、焼けてない面を斧に擦り付けて焼く。それを繰り返して、途中、火球補充を挟み、準備した肉を全て焼いた。しばらくして、マイは肉を削ぐようにカットする。生に近い状態なはずなのに血が出ない。


「ゴクリッ!」


 余りにも美味しそうな匂いに僕は堪らず喉を鳴らす。


 マイは切った肉を皿に並べて、油のようなものと、塩と黒い粒と乾燥させた香草のような物を肉にかけた。


「完成よ。さあ召し上がれ」


 リュックを裏返したらちょっとした食卓代わりになった。スープとパンに続いてしっかり調理されたものは久しぶりだ。地上に居た時でさえ、肉は高級品だった。


「「いただきます」」


 2人で手を合わせる。


 ナイフとフォークを受け取り、肉を刺して口に含む。


 口にした瞬間、涙が溢れる。



 美味い!



 美味すぎる!!



 涙が止まらない……



 ありがとう。スープに続いて最高だ!



 なんで同じ肉のはずなのにこうも違うのだろうか?


 肉は柔らかく、噛み締めるたびに旨みが口に広がる。熱くはないのだが、ぬるくはない。


 迷宮の中に取り残されてから、食事は作業だった。命を繋ぐためだけの。

 それが美味いものを食べたというだけで、こんなにも心が満たされるものなのか。


 瞬間で全て食べてしまった。


「ごちそうさまでした。ありがとう」


 僕は地に擦り付けるように頭を下げる。


 マイに出会ってから、僕の世界が変わった気がする。マイは僕に人間らしさを思い出させてくれた。正直、また飯を作って欲しい。


 なにがあってもマイは守る!


 地上に帰してみせる!


「ザップ。頭を上げて、あたしこそありがとう。こんなに喜んでくれて」 


 何故かマイの目も潤んでいた。



 マイが使っていた鉄箸はマイナーなのでトングに変更しました。2023.8.27



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 新作始めました。少し頭がぶっとんだ主人公と少女達が暴れる話です。よろしくお願いします。


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