護衛の護衛 23
「お前ら武器は手元においとけ。いつでも動けるようにしとけよ」
一応、声をかける。
僕らは平坦な所で馬車を街道から外して、思い思いに座って休憩している。依頼人の商人は基本的に彼らが言う事に従う。時間もたっぷりあるし、貴族相手に口論はしたくないのだろう。
それにしても、まじこいつら無防備すぎだろ。体をダラーッと伸ばしていて、まるで温泉に浸かってでもいるかのようなリラックス具合だ。僕を見て、ゼイリスがクックックッと笑う。
「もしかしてオッサン、ビビってるの。俺たち護衛だぜ、なんかあったら任せときなって」
何が任せときなだ。任せとけないからアドバイスしてるんだろ。確かに普通に戦闘したらコイツらはそこそこやるかもしれない。けど、実戦、特に対人戦は不意打ち騙し討ちのオンパレードだ。命がかかってるのに行儀良く襲いかかってくる馬鹿は居ない。
けど、口ではそう言っときながも全員得物は引き寄せている。出会ってから半日、少しは僕の事を信頼するようになったのだろう。
ガタゴトと後ろから来た荷馬車が街道を進んでいく。フードの御者はノーリアクション。普通だったら、何かしら挨拶はするものだ。うちの初心者たちは気付いてるだろうか? 馬車で見るべき所は車輪と車軸だ。目の前の馬車は見た目はオンボロだけど、車輪と車軸だけ妙にしっかりしている。王都へと往復するだけの馬車のものじゃない。遠出を視野に入れてしっかりしたものに変えたのだろう。けど、時間が無くて、車輪までは偽装できなかったんだろう。間違い無く族だ。僕は確信する。
「愛想ねーヤツだな」
バーナードが剣を握り締める。気付いたのか?
荷馬車は僕らの馬車の横を進む。
杞憂だったのか?
バサッ!
突然馬車の幌の横側がめくり上がる。
「動くなっ!」
馬車の中から声がする。馬車の中には男が5人。全員クロスボウを手にしている。あっちゃー。これはまずい。普通の盗賊なら問題無いと思ってたんだが、クロスボウを持ってるような奴らは訓練された盗賊、下手したら軍人崩れの可能性もある。当然僕が戦えば一撃だけど。今回の目的は人知れず助ける。彼らに冒険者の厳しさを教えながら、かつ、自信喪失にならないようにする。正直、僕は頭を抱える。この状況じゃ無理だろ。もし、コイツらが族に警戒してても結果は変わらなかったと思う。
御者が御者台から降りてきて、フードを捲る。タトューが入ったスキンヘッド。めっちゃ悪そうだ。
「お前ら、武器を置いて、手を頭の後ろに組んでゆっくり立ち上がれ」
スキンヘッド、軍人上がりっぽいな。どうするか?
「秘めたるスキルで異世界冒険」です。話が少しずつ動き始めてます。よろしくです。下のリンクからちょっと覗いて見て下さいm(_ _)m
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