護衛の護衛 21
「あんたたちも入ってたの?」
銭湯の入り口にはメイがいた。
「アイリスは?」
ゼイリスが尋ねる。
「ねぇ、聞いてよ。あの娘、まだ上がって来ないのよ。もう私が上がってくる。30分は経ってるのに」
まじか、けど、清楚系黒髪女子ってイメージ的に風呂が流そうだよな。逆にメイのような元気系女子は風呂が短そうだ。偏見だけど。
「お前ら、もしかして朝風呂派なのか?」
ゼイリスがまた蒸し返している。しつこいな。
「おまたせー。ってみんな集まって何してるの?」
アイリスが出てくる。なんか花のようないい匂いがする。良くないな香料か? 香料は魔物を引き寄せる。けど、迷宮や秘境に行く訳じゃないから、ま、いっか。
「ちょっと、聞くがさー」
ゼイリスが口を開く。
「もしかして、お前ら、昨日、風呂入って無いのか?」
「「入ったよ」」
女の子たちがハモる。
「うわ、じゃ、昨晩も今朝も風呂に入ったのか? お前ら贅沢過ぎるだろ。それより、お前らはいつもは朝風呂派なのか? 夜風呂派なのか?」
「ん? なんでそんなの事聞くの? なんかキモい」
アイリスが顔をしかめる。当然だよな。なんか覗きの予告でもしてるみたいだ。
「ちょっと待て、俺はお前らが入浴するのには興味ないない。俺は夜風呂入だ。けど、バーナードは朝に風呂に入るって言うんだよ。なんかもしかして俺が少数派なのかって思ってさ」
ゼイリスは自分の常識が崩れかけて不安なのか。小っちゃい奴だな。メンタル全体的に。
「私は、夜ね。けど、寝汗かいたら起きて体拭いたり、ひどい時は風呂湧かしてもらう」
メイがすぱっと答える。多分、これが貴族では一般的なんだろうな。
「あなたたち、甘いわね」
アイリスが腰に手を当てている。偉そうだな。
「風呂は朝風呂に決まってるでしょ。そして風呂の残り湯は洗濯物ものに使う。お湯で洗って、水ですすぐ。湧かしたお湯が勿体ないでしょ」
なんか異次元な考え方だな。でも経済的ではあるな。
「やっぱアイリスは話が分かるな」
バーナードが出した手をアイリスが握る。
「お前、きったねーな。汚いまま布団に入るのかよ?」
「何言ってるの? 美少女は汚くないし、汚くなる事はしないわ」
アイリス、自分で自分を美少女って言ってやがる。けど、香料多めの石鹸かシャンプー使ってるって事は体臭対策なんじゃないか?
「確かに、お前、いつもなんか良い匂いがするな」
ゼイリス、騙されてる。それは薬品の匂いだ。
それにしても、たった風呂の事だけで、よくもこんなに騒げるな。けど、楽しそうだ。これも若さなんだろう。なんか年を取るほど細かい事がどうでも良く感じるけど、それって良くないのかもな。
新作始めました。
「秘めたるスキルで異世界冒険」です。書いてていつの間にか、クラス転移ざまぁな話に変わりました^_^;
https://ncode.syosetu.com/n4087jo/
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