護衛の護衛 18
「オッサン、いや、ザザさん。どうやったら快適に寝られるんだ?」
月明かりにシルエット。バーナードだ。全く、手がかかる奴だ。
飯を食って女の子達と別れ馬小屋へと向かう。女の子達は隣の銭湯に行ってから寝るそうだけど、僕ら馬小屋組は早朝に行く事にした。
こういう時は、腹いっぱいのうちに寝るのがコツだ。粥系は暖かいし満腹感は高いんだが1つだけ弱点がある。消化が早いんだ。満腹なうちに寝ないと空腹で寝られなくなる。
空いてる馬房は2つ。1つにゼイリスとバーナード、もう一つに僕が寝る。個室はセレブだ。戻ると月明かりの下、ゼイリスが床にまるまっている。僕はさっさと準備して横になったとこで、バーナードが甘えてきた。
「しょうが無いな、好きにすればいいが、馬小屋歴数年の俺がレクチャーしてやる。まずは、あそこに藁、積んであるだろ。好きなだけ取ってこい」
「勝手にいいのか?」
「朝に戻すからかまわんよ」
「なんかチクチクするな」
バーナードは通路の奥に積んである藁を一抱え持ってくる。
「そりゃ、藁だからな。慣れないうちは直接触れるとチクチクして痒いからな。お前、マントは持ってないのか?」
「あんなだっせーの持ってる訳ねーだろ」
まじか、最近の冒険者はマント離れしてるのか。まあ、お洒落なマントって見た事無いもんな。若い時は見てくれ重視になりがちだもんな。
「おいおい、マントは必需品だぞ。雨避けにもなるし、こんな時に敷き布団変わりになる。別に撥水でなくてもいいから今度買っとけ。野宿の時にも役立つぞ」
「そうだな。首からかけてたら邪魔にならないしな」
バーナードは素直になったもんだ。
「で、その藁をまずは敷く。敷き布団だ。そして山を作ってマントに包まって、山に入り込む。この時、腹だけはしっかり温めるのがコツだ。腹出してたら、朝から下痢するぞ」
バーナードはモソモソと僕に言われた通りにする。なんと寝てたと思ってたゼイリスも無言で起き上がって真似し始めた。可愛らしい奴らだな。僕は収納からマントを2つ出して投げてやる。なんか魔法が付与されてたものだけど、何か覚えて無いって事はたいしたものじゃ無いだろう。
「あ、ありがとう」
バーナードは素直に礼を言う。
「んだよ、もっと綺麗なヤツ無いのかよ。借りるだけだからな」
ゼイリスは悪態をつく。けど、声が弾んでいる。素直じゃねーな。
「お前らにそれはやるよ。拾ったもんだからな」
まあ、拾ったのはダンジョンでたけど。
「あと、荷物は枕にしろよ」
置き引きは良くある。枕にしとけば、盗られたら起きる。
「ああ」
「分かってる」
疲れてたんだろう。すぐに2つの寝息が聞こえてきた。
新作始めました。
「秘めたるスキルで異世界転生」です。おバカ100%です。よろしくお願いします。下のリンクから飛べます。
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