護衛の護衛 15
「おい、こんなとこでウダウダしてないで、飯食うぞ、飯」
なんかいつの間にか僕がリーダーみたいになってるな。荷物持ちなのに。
「オッサン、俺らこういうとこで飯食うの初めてなんだ。教えてくれよ」
ゼイリスが弱気な事言ってる。
「おいおい、飯屋なんかどこでも一緒だ。金払って飯を食う。あ、まてまて、宿泊してる事は伝えろよ。金額が違ったりするからな。あと、違う時は馬小屋でもオッケーか聞けよ」
「ああわかった」
僕たちはゼイリスを先頭に食堂に入る。1階の南側の部屋で、窓が多いけど、もう日が暮れてるから閉まっている。円卓が6つとカウンター。山賊かと思うようなゴツいおっさんのパーティーが3組居る。木賃宿にしては人気があるみたいだな。ベテランっぽい冒険者が居るって事は宿泊メリットが多いって事だし、ああいうゴツい奴が居る宿は防犯上は安全だ。もっとも、彼らが堅気だったらの話だが。
ゼイリスが少し気圧されながらキョロキョロする。店員はカウンター奥におっさんしか居ない。そこにゼイリスは向かう。
「飯、食いたいんだが?」
あっちゃー。コイツはマジでガキだな。
「5ペニー」
ペニーとは田舎で銅貨って意味だ。
「ここに泊まってるんだが」
「3ペニーだ」
「馬小屋でもいいのか?」
「5ペニーだ」
ゼイリスはポケットから小銭入れを出して銅貨五枚を並べる。オッサンは顔が入るくらいの碗に、ローレンジで温めていたドロッとした汁を注いでゼイリスに渡す。それを渋面で無言で受け取る。
しょうが無い手本を見せてやるか。
「こんばんは。オッサン、俺にも飯をくれ」
「こんばんは。泊まってるのか?」
「泊まってるが、馬小屋だ」
「じゃ、3だな」
「ありがとう」
僕は銅貨三枚をカウンターに並べる。
「ちょっと待てよ。なんで俺が五枚で、オッサンが三枚なんだよ。おかしいだろ。何が違うんだ?」
ゼイリスがギャーギャー言い始める。
「自分で考えろ」
僕は碗を受け取り席に近くの席に付く。水差しが置いてある棚に行き、『1ペニー』って書いてある皿に銅貨一枚入れて、水差し1つとコップ5つを取ってくる。
「オッサン、あのオッサンと知り合いなのか?」
席に付いたゼイリスが尋ねてくる。
「いや、初めてだ」
「俺がガキに見えるから舐められてるのか?」
「違うな。まけて貰えないのはお前たちくらいなもんだ」
メイとアイリスは三枚、バーナードもは五枚払って、テーブルに付く。
「水は奢りだ」
全員に水を注いでやる。
メイが僕の隣に座り話しかけてくる。
「私たち、宿泊した人はご飯がサービス価格になるって事はわかるわ。でもなんでオッサンとゼイリスの料金が違うんだろう?」
僕の方をチラチラ見てくるから、説明してくれって思ってるんだろう。それなら口にして頼めよ。
「なんでだろーな」
コイツらに説教しても効果ないから、自分たちで答えにはたどり着いて貰おう。
新作始めました。
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