護衛の護衛 14
「うわ、あんたたち獣くっさー」
メイがこれ見よがしに鼻を摘まんでいる。食堂の前の廊下で、メイとアイリスが待っている。もしかして食堂に入るのにビビってるのか? その2人の前にバーナードが立ち塞がる。
「おいおい、そりゃねーだろ。お前らも馬小屋に引きずり込んでやろーか? 思ったより馬小屋もいいもんだぜ。冒険者気分を味わえるってもんだ」
コイツ中々調子いいな。さっきまで、馬小屋を嫌がってたのに。
「まあ、お前たちに馬小屋はまだ早いな。もっと冒険を積み重ねたら、お前らも馬小屋に泊めてやるよ」
ゼイリスも煽る。馬小屋は冒険者のステータスなんかじゃねーよ。金無い奴がしぶしぶ泊まってるとこだ。
「アイリス、私達も馬小屋行くわよ。あんたたちが部屋に泊まって馬小屋譲りなさいよ」
ん、なんかおかしな事になってきたな。饅頭恐いみたいだ。
「まてまてまて、嬢ちゃんたちが馬小屋はまずいだろ。あんたら、一応貴族なんだろ」
僕は仲裁に入る。何、馬小屋をリスペクトしてんだよ。メイがジロリと僕を見て口を開く。
「それがどうしたのよ。馬小屋もたこ部屋も寝る所って事には変わりないわよ。私達は力があるから何処で寝ても問題ないわ。馬小屋って言っても野宿よりマシでしょ?」
そりゃそうだけど、彼女たちを馬小屋に泊めたって依頼主の親御さんにばれたら、僕が怒られるかもしれない。考えろ、どうやって諦めさせるか。今の季節は暑くも寒くもない。馬小屋も快適だ。なんかいい考え無いか。あ、そうだ。
「嬢ちゃんたち、虫は大丈夫か? 馬小屋には蝿がしこたまいるし、馬がいる藁をめくれば、うじ虫がしこたま居るぞ」
そう、今の時期ほ馬糞にしこたまうじが湧き、蝿がのべつ幕無し居たるとこにとまってくる。まあ、僕はそんなの微塵も気にならないが、御貴族様はそうじゃないだろう。
「「ええーっ」」
メイとアイリスがハモる。うん、やっぱり女の子は虫が嫌いだよな。
「やっぱり、私には馬小屋はまだ早いかなー」
メイが芋を引く。当然だな。
「私も……」
アイリスもだ。まあ、虫好きの女の子とかいたら、ドン引きだもんな。
「お、俺もちょっと虫はー」
ゼイリスもかよ。
「ダメだ。お前らは馬小屋だ。蝿くらい気ににするな。うるさかったら、叩け。それも冒険者の嗜みだ」
「まじかよ、俺は生まれてこのかた。蝿を殺した事なんかねーよ」
まじかよ、温室育ちかよ。
「オッサン、俺も虫は……」
バーナードもなんか萎えている。まったく、最近の若い男は……
「馬小屋が嫌なら、しっかり依頼で稼げ!」
こんなんじゃ、食事でもウダウダ言いそうだな。全くなんで僕が子守りみたいな事を……
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