護衛の護衛 13
「オッサン、冗談だろ。あそこに馬居るぞ、馬」
バーナードが喜んでいる。僕はバーナードとゼイリスを馬小屋に引っ張ってってるとこだ。男のくせにウダウダ言うから、2人とも手を握ってやってる。逃げようとしやがるが、僕は腕力には自信がある。ジャリ二匹なんてどうって事無い。
「そりゃ居るさ馬小屋だもんな。お前ら貴族だろ。馬なんて尻にタコが出来るくらい乗ってるだろ」
どうでもいいけど、尻にタコが出来るって、触手プレイを連想するな……いかんいかん下品はマイに殴られる。
ゼイリスが引っ張られる腕の抵抗を強める。
「オッサン、そりゃそうだけどよー。俺ら馬と一緒に寝るのなんか初めてだよ。落ち着いて寝られはしねーぜ」
「良かったな、今日はついてる。馬房に空きがあるようだな。馬とは一緒に寝なくて良さそうだぞ」
馬小屋に入るが、幾つか空きがあるようだ。宿の馬小屋は貸し出し用の馬か、旅人が使ってる馬を泊めるためのものだ。僕らはそこを無料で借りる訳だけど、空きがあれば馬と一緒に寝なくてすむ。宿泊客が少ない時はたまにこういうラッキーな事もある。王都では基本的に馬と一緒になる事の方が多い。
「場所を押さえたら、飯にしよう。置いとくのは盗まれてもいいものにしろよ」
場所取りには予備の服とかを置くのが一般的だ。ボロい服じゃないと盗まれる事もある。
「うわ、きったねーな」
バーナードが藁を手にしている。
「こんなとこに寝たら、風呂入ってもまた汚れるんじゃねーか」
「また水浴びすりゃいいだろ」
馬小屋の近くには井戸があるもんな。
「どうやって寝るんだよ」
ゼイリスが馬房を遠巻きに見ている。コイツらまじでチキンだな。
「んー、馬小屋がやなら、鶏小屋でねるか?」
バーナードが僕を睨んでくる。
「オッサン、そりゃ、俺らをチキンって言ってるのか。ああ、寝てやるよ。思う存分寝てやるよ」
意を決して2人は馬房に入ってくる。
「気に入ったようだな。なら良かった。どうやって寝るかって、自分で考えろ。好きに寝ろ。けど、馬の後ろには立つなよ。蹴り飛ばされるからな」
「それぐらい知ってる!」
バーナードが大声を出す。
「おいおい、大声出すな。馬が驚くだろ。ここは馬小屋だ。馬が主人で俺らはお邪魔者だ。ちっとは気を使え」
バーナードは知ってるって言ってるが、これはまじで気をつけたがいい。馬は臆病で後ろが見えないから、後ろになんか居るって思ったらすぐ蹴る。僕もやられて、避けたけど、蹄鉄で服を切られた事がある。普通の人は食らったら命の危険がある。
僕らは空いた馬房に服を置き場所取りして、女子が待ってる食堂に向かう。緊急の馬に乗った宿泊客が来ない限り、今日はゆったり眠れそうだ。
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