護衛の護衛 9
「えっ、嘘でしょ。オッサン彼女いるの?」
アイリスは目を丸くしてる。そんなに驚く事か? 釈然としないが、気にせず水を注いでやる。アイリスは即座に飲み干す。
「ありがと。けど、オッサン、甲斐性無しじゃん、と言う事はヒモ、ヒモなのね」
甲斐性無しを断言するなよ。失礼だな。
「へぇー、オッサンヒモなのか?」
チャラ男が這ってくる。それにアイリスがコップを渡す。確かにヒモっぽくはあるがヒモじゃないはず。
「ゼイリス、私が飲んだとこで飲まないでよ」
「わあーってるよ」
うわ、コイツらこんなこと気にしてるのか? 間接キスってやつをか? なんかこういう青々しいのっていいな。
「ヒモな訳あるか! ちゃんと稼いでるよ」
アイリスが僕の目を覗きこんてくる。
「それはおかしいわ。オッサン荷物持ちでしょ。オッサンの稼ぎが二日で金貨一枚くらいって事は、休み無しで月の稼ぎが金貨15枚くらい。それじゃ、生活ギリギリだから、デートするお金も無いはずね。だから、多分、頑張って月1のデートをしたとしても、割り勘か彼女の奢りね。その顔で甲斐性無しだったら、彼女出来る訳ないわ。多分、イマジナリー彼女か、家に張ってるポスターが彼女ね」
イマジナリー彼女? ポスター? 酷すぎだろ。そんなにモテ無さそうに見えるか?
「失礼な。おるわ彼女」
チャラ男、ゼイリスに水をついでやる。
「じゃ、オッサン、彼女の名前は? サンキュな」
ゼイリスは一気に水を飲む。
「マイだよ」
「えっ、メイ?」
メイが後ずさる。オメーじゃないわ。
「マイだマイ」
「疑わしいな。どんな感じなんだよ。」
バーナードがゼイリスからコップを受け取る。
「んー、目がくりっとしてて、瘠せてて、背丈は普通な感じかな」
みんながメイを見る。メイは自分に人差し指を向ける。ちげぇわ。
「そうそう、頭に猫耳がついてる」
水を飲み干したバーナードが僕の肩を叩く。
「オッサン、それ猫だろ。たまにペットを彼氏彼女って言う奴いるんだよなー。見栄張りたいのはわかるが。かっこ悪いぜ」
「だからー」
ん、街道を馬?
「何か近づいてるぞ。構えろ」
ゼイリスが立ち上がる。それにみんな続く。効いてる効いてる。水にエリクサーを薄めて混ぜてたから、筋肉痛系は回復してるはずだ。
街道を2頭の馬が走ってくる。その背には1人づつ乗せている。
前にはギラギラ輝く全身鎧に大きな盾とランス。馬も鎧をつけている。後ろにはサラサラの金色の髪に緑のローブに大弓の小柄な女性。頭からわざとらしくエルフ耳が飛び出している。
。あ、あれは。
「やあやあ、冒険者諸君。私の名前は自由騎士パン。彼女の名前はデイド、エルフだ」
おお、面白い奴らが来た。コイツらどう対応するかな?
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