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1983/2115

 護衛の護衛 7


「あーあ、オッサンが余計な事いうから、私の稼ぎが減ったじゃない」


 アイリスが頭の後ろに手を組んで歩きながら、また、僕に絡んでくる。もう何度目だよ。

 しかも彼らの話っぷりから、彼女が一番金持ちで家の爵位も高いみたいだ。ケチだから金持ちになるのか? 金持ちだからケチなのか? まあ、彼女の場合は両方だろう。


 僕らが向かってるのは、城壁の通用門。王都の門はそこまで分厚くはなく、機械式で締まるようになっている。ここ王都で戦争が起きた事はほぼ無いという話で、外からの魔物の進行に備えているだけなので、他の街とかに比べて仰々しくは無い。街から出る時の審査は緩く、入って来る時はチェックが厳しい。大通りに止めてある馬車の前で依頼人の商人が待っている。これから隣町に行って、そこで一泊して帰ってくるだけのなんちゃない依頼だ。


「おいおいおいおいおいおい!」


 つい、ツッコミが止まらない。彼らは依頼人の馬車の前にあった黒塗りのゴツい馬車に乗り込む。私は執事ですっ、て感じのナイスミドルが馭者をしていて、馬車の脇に、家紋隠しましたよっ、て感じで布が張ってある。最後に乗り込もうとしたバーナードの腕を掴む。


「おいっ、何してんだ?」


「んだよオッサン、うっせーな。見りゃわかんだろ」


 うん、馬車に乗り込もうとしてるのは分かる。けど、なんでコイツらが貴族御用達感バリバリの馬車に乗ろうとしてるのか分からない。いや、少しは予測は立ってるが、さすがにそれは無いだろ。


「お前ら、仕事はどうすんだ?」


「ん、俺らが先行して依頼人を守る。問題ないだろ」


「問題大ありだろ。なんだそりゃ?護衛の依頼を受けるのに、依頼人より高価な馬車に乗るバカがいるか? その馬車借りるだけで、お前らの依頼料、全部飛んでお釣りがくるだろ」


「いいんだよ、オッサン」


 チャラ男が面倒くさそうに馬車から顔を出す。


「これは俺の馬車だ。だから金はかかんない。ずっと歩くのたりぃだろ。なんかあったらジェームスが気づくし、俺らだって戦うよ」


 多分、ジェームスって言うのは馭者してる執事だろう。なんかチャラ男は正当な事を言ってるっぽい気もするが、根本を間違ってるだろう。


「ダメだ、ダメだ、ダメだ。お前らとっとと降りやがれ。歩け! 歩くんだよ!」


 基本冒険者の仕事の大半は歩く事だ。街道を歩くし、山の中を歩くし、迷宮の中も歩く。優れた冒険者と言うのは、得てして歩行の達人である。24時間歩いてその後に問題なく全力で戦えないと使い物にならない。よく、冒険者が隊商の護衛で歩いているのは、決して馬車を借りるお金が無い訳じゃない。可能な限りいつでも鍛えてるのだ。歩く事の大切さは先輩冒険者から耳タコなくらい聞かされる。


 4人を馬車から引きずり下ろして、ジェームスを帰らせて、しばらく歩く事の大切さを教えてやった。けど、イマイチ分かってなさそうだなー……


 読んでいただきありがとうございます。


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