護衛の護衛 3
「オッサン、化け物か? 髪型はキモいのに」
少女が目を見開く。4人分のリュックを軽々担いだ僕を見て。
このわがまま坊ちゃん嬢ちゃんは、依頼人との集合場所に行く前から、僕に荷物を持てと指示してきた。ギルド前の大通りに馬鹿みたいにパンパンなリュックを持ってきて、僕に運べときたもんだ。さすがに普通に持ったら、4人分のリュックなんて持てないから、今日は背負子を使っている。紐で上手く縛っているから落ちる心配は無い。
「髪型は余計だ。まあ、俺は荷物持ちだからな」
「いやいやオッサンおかしいって」
パーティーの1人、チャラそうな男も寄ってくる。なんか僕の名前はオッサンに決まったみたいだな。やだな。
「ん、別に何もおかしく無いだろ」
「そんな背負子見た事ねーよ。ちょっと俺にも背負わせてくれよ」
今回の背負子はスペシャルバージョン。なんと、爪と呼ばれる荷物を支える棒が伸縮自在なのだ。だからリュック4つくらいは簡単に横に並べられる。
「まあ、いいけど」
僕は人様の荷物だから、丁寧に地面に降ろす。
「ぐぬっ、ぐぬぬぬぬっ」
チャラ男は背負うけど持ち上がらない。貧弱だなー。これでも冒険者なのか?
「オッサン、てこの原理って知ってるか? こういうのって、荷物が自分の体から離れれば離れるほど、重くなんだよ。しっかり頭使って、荷物を上に高く積むとかしないど、無駄な力がいるんだよ。そんな頭悪い背負子なんか使ってたら、すぐにバテちまうぞ」
チャラ男じゃない方の男、まあ、特徴から「のっぽ」と呼ぼう。その『のっぽ』が賢しげな事を言ってる。多分彼は身長が180センチくらいはありそうだ。平均身長の僕からしてはうらやましい限りだ。どうでもいいけど、知り合いのマッスルネクロマンサーのレリーフは身長が2メートル以上あるけど、『のっぽ』というイメージじゃない。デカい、だな。やっぱ『のっぽ』って言うと瘠せてて背が高い、ちょうどこの男みたいな感じだ。本当にどうでもいいけど、並べて『のっぽのっぽ』と言うとかなり間抜けな語感になるな。
「んー、持てるんだからいいだろ。大丈夫だ。鍛えてるから」
「いいけどさー。遅れたりしたら、お兄さんのお給料、減らしますからね」
もう1人の女の子、黒髪ロングヘアーの女の子が口を開く。小柄で華奢だけど、胸が大っきい。着てる服とかから、お金持ちオーラが出ている。なんて言うか、僕の好みのタイプだ。それに、1人だけ僕の事をオッサンって言ってないしな。
「ああ、すきなだけ減らしてくれ」
「じゃあ、あんまり遅れた時には、時間で金額を計算して、場合によってはお金、払って貰うからよろしくね」
なんかいい性格してるな。ドケチかよ。可愛いのにもったいないな。
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