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 道祖神 7


「なあ、お前の名前ってなんかかわってるよな。ヒラツメノミコトだったか?」


 僕は封印の境界線に向かって歩いている。


「ヒラツメちゃうわ。ハラツメだわ。これは私と一緒に旅してた巫女の女の子がつけてくれたのよ。私の姿が野に咲く爪草の花みたいに可憐だからって。昔2人で破壊神に挑んだのよ」


「そっかー。それで、その巫女はどうなったんだ」


 もしかして、そこで亡くなって、それで、その彼女がつけてくれた名前を大事にしてるのか?


「違うわよ。あの馬鹿、破壊神に勝てないって思った途端にさっさとトンズラこきやがったわ。それで、私は私自身を守るために結界を張ったのよ」


「じゃあ、なんでそんな奴につけて貰った名前を使ってるんだ」


「そりゃ、その後、良くここには来てくれたのよ。私が埋まるまではね。あっここよ。一瞬解除するから、飛び込んで、3、2、1、はい」


 僕は言われた通りに前に飛び出る。


「んもー、遅いわよ。やり直し」


 えっ、まじか。そしてしばらく歩くと、左手に石像。また戻ったのか。



「もう勘弁してくれよ。もっと長い時間解除すればいいだろ」


 今は境界線の前。あれから4回ループさせられた。僕らは心は繋がってるのに、タイミングが合わない。


「だから言ってるじゃないの。そんな都合良く止めたり戻したり出来ないのよ」


「お前が作ったものだから、頑張ればなんとかなるだろ」


「無茶言わないでよ。アンタだって、おしっこしてる時途中で止められないでしょ」


「きったねー例えだな。それより、お前じゃさっき見てたのか?」


「アンタが私にバレないように音を立てないようにしゃがんでしてたのなんか見てないわよ」


 まじか、視界も共有されてるのか。地獄だな。1秒でも早くコイツから解放されたい。


「本気だすぞ。カウントよろしく」


 僕は走るスタートの最終形。両手を地面に付けて前かがみになる。あと、空気の抵抗を減らすために前方の空気を逐次収納に入れる準備をする。そして、両の足を全力を出せるように意識して、足の裏には地面を蹴り易いように、ワープポータルを出して固定する。


「3、2、1、スタートっ!」


 ドゴン。


 ポータルを蹴った音がする。全進に足をもつれさせないようにしながらなんとかしのぐ。よし、良い感じだ。


「すっごい。すっごいわ。成功よ、抜けたわ。風が気持ちいいわね。人間ってこんなに早く走れるのね」


 このスタートはうちの導師ジブルに教えて貰った。僕は風を切って走る。爽快だ。走るのサイコー。どこまでも行ってやる。どんどん道の傾斜が激しくなってくる。よしっ、やっとループを抜けた。このまま破壊神までまっしぐらだ。





 

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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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