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1968/2115

 道祖神 4


『もう一度言う。人の子よ立ち去りなさい』


 トーンは高いけど、落ち着いた声。なんかもう一度聞きたくなるような声だ。それにしても素晴らしい。さすが神様系。僕の事を『人の子』、人間扱いしてくれてる。少し嬉しい。なんか、周りの連中は僕の事を猿とかゴリラとか化け物扱いするもんな。

 それにしても不気味だ。小っこい石像に小動物。思わせる人間の目。かわいらしい石像なのに妖怪にしか見えない。さっきとは打って変わって、ハンマーでぶっ叩きたくなる。


「なんで?」


 こちとら仕事で来てるんだ。帰れと言われても帰れない。


『あなたのために言ってます。理由は聞かずに立ち去りなさい』


 なんか微妙に上から目線なのがムカつくな。とりあえず、ハンマーを振り上げ威嚇してみる。


『何をしておる。その物騒なものを今すぐ下ろせ』


「んー、下ろせ? お前の上に?」


『違う。いや、違います。私の上にじゃなく、違うとこに降ろしてください』


 おっ、言葉使いが変わった。見た目は不気味だけど、コイツは弱い生き物なんじゃないか?


「んー、俺は『なんで?』って聞いたよなー。教えてもらえなかったら、間違ってお前の上にハンマー落としちゃうかもなー』


「いやー、待って待って、話すから、話しますから、山で破壊神が蘇ったんですよ」


「山で墓石? なんだその墓石が蘇るって?」


『墓石じゃなくて、破壊神』


「だから墓石だろ」


『墓石じゃなくて、破壊神です。破壊しまくる神様が蘇ったんです』


 散々ループさせられておちょくられたから、その借りを少し返してやった。やられた分はやり返す。それは冒険者の鉄則だ。


「冗談だよ。それで、どうしたんだ?」


『だから、破壊神が蘇ったから、人が入れないように、体張って結界張ってるのよー』


 なんか言い方が砕けてきたなー。なんかこのデジャブ感。そうだ、妖精とかと話してるような感じだな。もしかして、実は僕はからかわれてるんじゃないか?


「分かった。で、なんで破壊神が蘇ったんだ?」


「それは、地滑りで、封印してた祠が壊れたからよ。私は、『はらつめのみこと』って呼ばれているわ。野原に生える爪草って草を司る神よ。大昔に破壊神をこの地に封じ込めた者よ」


 ん、草の神? やっぱ妖精かよ。けど、見た目的に妖怪と呼んでもいいかもしれない。昔聞いた事がある。信仰を失って力を失った神が妖精や妖怪になると。


「で、破壊神、破壊神って言ってるけど、そいつはどんな奴なんだ?」


「邪悪で、山のように大きくて、めっちゃめちゃ強い奴よ」


 んー、膝下サイズのコイツに大きいと言われてもピンと来ない。その破壊神ってザコなんじゃないか? コイツも弱そうだし。


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最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
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