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1966/2118

 道祖神 2


 山に向かう道を教えて貰い、村を発つ。山に近づき道はやがて坂になり森に入る。森に入るとしばらくして、右手に膝くらいまでの高さの石で掘られた神様か何かの像を見つけた。村の人たちが『道祖神』といってたものだろう。屈んで観察する。ゆったりとした衣を着た子供のような幼い顔。けど、その体は豊満で女性だと思われる。見たことが無い神様。地母神という言葉が頭をよぎる。正直綺麗だと思う。けど、僕らの美意識でそう思うという事は、この像は比較的新しいのかもしれない。なんていうか、彫刻とか絵画とかは昔のものになるとなるほど、今の感性とは外れてる事が多いから。

 僕は軽く目礼すると立ち上がり歩き始める。知らない神様だけど、神様ってものは今まで誰かが大事にしてきた存在。それに対しては敬意を払うべきだと思う。

 まだ、昼を過ぎたばかりなので、時間があるので悠々と歩く。木々が増え、風で森がざわめく。たまには自然の中を何も考えずに歩くのもいいものだ。しばらく歩くと、また、道祖神の像が見えてくる。さっきのと同じものだ。けど、なんかさっきのより、より写実的になってる。道祖神って一定間隔おきにあるって言ってたな。さっきのより腕がいい人が彫ったのだろう。歩きながら目礼して進む。

 そういえば、風の音は聞こえるけど、鳥や虫の声がしないし見かけないな。なんて言うか、神殿の中とか、ダンジョンの中とかみたいに、生き物の気配的なものがしない。森の中なのに。まあ、害獣や魔物とかが居ないのに越したことはないからいっか。 

 そういえば、山に入れないって言ってたよな。簡単に入れてるじゃんか。ん、入れてるのか? 後ろを振り返るけど、似たような道が続いてるから、分かんない。なんかやな予感がして、歩みを早める。そしてしばらく歩くと、また道祖神。またさっきより、作りが精巧になっている。本当にさっきのと違うものなのか? サイズ、表情が前のとその前のと一緒だ。なんか気味が悪い。んー、そうだ、お供えものしよう。像の前にしゃがんで、銀貨一枚を供える。道縁に像はあって、一応ぐるりと回って観察してみる。像の後ろには文字が刻まれている。


『ハラツメノミコト』


 なんか呪文なのか? いや、この像の神様の名前だろう。ミコトっていう言葉は、この前の盗賊都市での戦いで知った。東方和国の言葉で、神様によくつけられている。いのちって意味でもあるそうだ。ハラツメの神様。ハラツメってなんだ? 和国の風習、ハラキリ、切腹の事か? まあ、分からないものは分からない。なんかやっぱり山に入れずにループしてるような気がする。僕は道に戻り走り始めた。


 

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