はんにゃのめん 中後後
「で、これ、どうするか?」
僕とマイは顔を見合わせる。そして、『はんにゃのめん』に視線を落とす。
もう僕の意志は決まっている。僕には硬くなる変わりにラリる仮面は全く必要じゃないし、マイが混乱するのは見たくは無い。
僕とマイは顔を見合わせる。マイは肯く。以心伝心。なんか嬉しい。僕は収納に仮面をしまう。
「えっ、なんでしまうの? 次はあたしの番でしょ?」
「えっ?」
嘘だろ。マイはこの汚くて最悪の仮面を被る気か?
「止めたが良くないか? もし、マイが混乱したら、誰も止められないんじゃないか?」
「んー、でも、興味が湧くわ。それを被って制御出来たら、あたし、ザップにかなり近づけると思う」
「そうですよね」
シャリーちゃんが僕らに割り込んで来る。
「どこでもすぐ脱ぐザップさん並みのインパクトを出すためには、その仮面、良い仕事しそうですよね。その仮面にビキニとかだったら、ザップさんとほぼ同じくらい目立つと思いますよ」
「好きで脱いどらんわ。俺の受けるダメージに追い着く装備が無いだけだ」
「なら、もっといい装備買えばいいじゃないですか?」
「いやー、でも、高い装備がダメになったら金食うしなー」
前に魔法のかかったかなりいい鎧を着てた事もあるが、ドラゴンブレスで一撃でおしゃかになった。あれは高かったから、涙出そうになった。しばらく貧乏になったしな。
「そんな事言って、本当は公衆の面前でさらけ出すのが好きなんでしょ。私も色々話し聞きましたよ。あ、もしかしたら、その仮面ならそうそう壊れないんじゃないですか? 脱いでも仮面しとけば誰か分かんないですよ」
確かに、顔バレは無くなるな。けど、裸にはんにゃのめんは、裸よりヤバい奴に見えるんじゃないか?
「ちょっとー、下らない話はいいから」
マイが不機嫌そうな声を出す。
「そんな事より、今は仮面の事でしょ。それにインパクトじゃなくて、強さでザップに追い着きたいのよ。けど、そうね、確かにこれをはめて人前に出るのは恥ずかしいわね」
「だろだろ。止めときなよ」
「マイ姉様、強さを手にするためには、何かを犠牲にしないといけないんですよ。例えばザップさんなんか、品性を犠牲にしてますからねー」
「犠牲にしてねーよ」
なんか、隣の女の子は僕に毒ばっか吐くな。
「ほらほら、マイ姉様、チャッチャと付けちゃいましょうよ。大丈夫ですっ。何かあったら、即座に呪いを中和しますから」
シャリーちゃんはそうは言うが、マイが暴れたら、僕ですら手に負えないかもしれない。コイツに何か出来るとは思わない。
「そこまで言うなら、お前が被れ」
とりあえず、シャリーちゃんに仮面を装備してやった。




