はんにゃのめん 前
「で、誰が被ってみるか?」
僕はテーブルの上の仮面をマジマジ見る。ここは家のリビング。昼食も終えてみんなで集まっている。
『はんにゃのめん』
伝説の呪いのアイテムが今僕の手の中にある。木っぽいもので出来ていて、男か女か分からないようななんか怒ってしゃくれた人の顔を模したものだ。伝説では凄まじい防御力を得る変わりに、呪いで外れなくなり、混乱して通常の思考、動きが出来なくなるという。
本日の『はんにゃのめん』検証には、僕、マイ、アン、導師ジブル、あと隣の店から、元聖教国の大神官シャリーちゃんが招かれている。彼女は聖なる魔法のプロフェッショナル。彼女無くして今日の検証はあり得ない。普通の呪いのアイテムは解呪するとその効力を失うものだが、聖教国の秘術『呪い中和の魔法』で、一次的に呪いを打ち消し、外せなくなった呪いのアイテムもなんとかなるそうだ。それにしても聖教国、ゲスい国だな。そんな魔法の使い途なんてロクなもんじゃない。
この『はんにゃのめん』は、先日王都の蚤の市で手に入れたものだ。ガラクタを広げてあるゴザの上に1つだけ古くさいのに傷がない仮面があったので、マイに鑑定してもらったら、拾い物である事が分かった。銀貨一枚、実際の価値は銅貨一枚らしいけど、喜んで購入した。魔道具、特に武器や防具は夢がある。凄まじい防御力、混乱って言ってるけど、僕らは今まで幾多もの困難を乗り越えて来た。この呪いの防具を使いこなせる者がいるのではないだろうか? 仮面だから被るものだとは思うが、少しデザインが独特すぎる。けど、有用なら、仮面の上に色々つけて改造すればもっと大人しいものになるはずだ。
「で、誰からいくか? 俺は最後が良いだろう。もともと防御力は高いからな」
「私は、スケルトン化すればほぼ不死身だから、後でいいかなー」
導師ジブルが芋る。
「じゃ、あたしが被る」
シャリーちゃんが仮面に手を伸ばす。
「まてまて、お前が被ってどうする。お前が呪われたら誰が解呪するんだ」
「冗談よ。だってあたしが居るから安全なのに、みんな芋引いてるから。チッキーン、チッキーン、チッキーン」
シャリーちゃんが煽ってくる。大きな胸を揺らしながら頭の上で手を叩いている。一番のチキンな癖に安全圏に居るから強気だな。
「おい、デカちち、誰がチキンだ。私は誇り高いドラゴンだ。目に物見せてやる」
アンはサッと仮面を掠め取ると、躊躇いなく顔に当てる。一瞬アンから黒いモヤみたいな物が発生する。
「ハーッハッハッハッ。腹減った」
んー、いつも通りだな。これはアンの装備に確定か?
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