ワープポータル (12)
「なんなとか、手が無いことはないが」
また服を着て二人が担々麺を食べて、僕は口を開く。もし、僕らが幻覚を魔法とかで見せられているのなら、それを打ち消す方法はある。ここに来る時にワープポータルの罠の効力を消そうとした僕の必殺魔法。
『原始の世界』
これ以上不可能なまでに凝縮された魔力は、絶対に至る。それが世界の名前を冠する魔法。行使されたらそれが結果になる。『原始の世界』は物質分解の魔法の最終系。元々は魔力の球を爆発させる魔法だけど、僕は魔法適正が低い故に、自分の周りを分解する事しか出来ない。要はさっきみたいに光って裸になるという、クソの役にも立たないものだ。けど、光に触れた全ての無生物は塩になる。魔法だろうが、炎だろうが、なんでも塩になる。
「なんかはっきりしない言い方ね」
アマンダが眉を顰める。そりゃ、躊躇いもするよ。
「俺がどうしてここに来た時裸だったのか言ったよな」
「うん、なんか分解する系の魔法なんでしょ」
チェルシーが答える。
「ああ、また使ったら、魔法とかかけられてるならそれも分解出来る」
「じゃあ、とっととやってよ」
チェルシーはそう言うが、そう単純じゃない。
「幻覚とか睡眠系の魔法にかけられてるのなら、問題無いと思うが、例えば結界とかに閉じ込められていて幻覚を見せられてるのなら、俺は結界から出られると思うが、お前らはこのままだ。それでもいいならすぐに使うが」
「そうね。そういう可能性もあるわね。その魔法って、範囲に私たちを入れたりは出来ないの」
アマンダはそう言うが。
「俺にしがみついてたら、魔法の範囲に入る事は出来るけど」
「けど」
聡いアマンダは分かってるはずだ。
「俺はとんな感じでここに来た?」
「フル〇ン」
チェルシーが即座に答える。女の子がはしたない。
「あの魔法は無生物を全て塩に変える」
「と言う事は私たちも全裸になるって事ね」
アマンダが言う通り。
「しかも、かなりしがみつかないと魔法の効果が無い」
女の子にしがみつかれるのは、僕は当然嫌じゃないけど、彼女たちは未婚だと思われる。抵抗はかなりあるだろう。彼女たちの魔法効果を塩にしなくても、問題無く脱出出来るかもしれない。
「不本意だけど、私はしがみつく」
チェルシーはそう言うが、しがみつくのが目的じゃなく、もし魔法だった時の解除が目的なんだが。
「そうねしょうが無いわね。ずっとここに居るよりはマシね」
アマンダが近づいてくる。なんかひどい言われようだな。
そして、チェルシーとアマンダが僕にぴったり貼り付いてくる。両手に花。なんか二人は言うより嫌そうな顔してないな。




